
「疲れがなかなか取れない」「体の不調を感じるけれど、自然の力で整えたい」、そんな方におすすめなのが湯治です。
湯治とは、温泉の自然な力を利用して体の不調を整える、日本に古くから伝わる療法です。最近では、短期間でも効果を実感しやすい「新・湯治」も注目されています。
本記事では、湯治の基礎知識とあわせて、全国の湯治ができるおすすめの温泉を7つ厳選してご紹介します。
ご自身に合った湯治スポットを見つけて、心身をリフレッシュしてみませんか?ぜひ最後までご覧ください。
湯治とは
湯治ができる温泉は、古くから怪我や病気の回復に役立てられてきました。温泉の成分が体に働きかけ、人が本来持つ自然治癒力を高めることで、健康へと導いてくれます。伝統から現代へと受け継がれる湯治の本質と新たな可能性をご紹介します。

湯治とは何か
「湯」は薬湯、「治」は治療
湯治の「湯」は薬湯、「治」は治療を意味しています。湯治と言葉は、つまり「薬湯を使った治療」という意味になります。湯治は、古い歴史書にも記述があり、平安時代からあったと伝えられています。古来より怪我や病気になると湯治を利用して治してきました。
湯治の本質は人の自然治癒力を高めること
日本湯治協会によれば、湯治の本質は「人の自然治癒力を高めること」と表現されています。
たとえば、怪我をした際に傷口から膿が出ることがありますが、この膿というのは、体内に侵入しようとする細菌と白血球が戦った結果で、自然治癒力を示すひとつです。白血球などの体内の細胞が、細菌を取り込み排除することで、感染の拡大を防ぐ働きを担っています。
私たちの体にはもともと備わっている自然治癒力がありますが、湯治ができる温泉に入ることでその力をさらに高め、より効果的に引き出すことができます。
現代版の新湯治の概念
現代では新しい概念の湯治が推奨されていることをご存じでしょうか。
新しい概念の湯治は、その名も「新・湯治」です。新・湯治は、平成29年に環境省から提案された概念で、現代のライフスタイルにあった湯治ができる温泉地での過ごし方です。温泉以外の要素も楽しむことで、心身ともにリフレッシュすること、温泉地を多くの人が訪れることで、温泉地自身のにぎわいを生み出していくことが目指されています。
湯治の効果
温泉には、体を温めることで血流を促す物理作用や、温泉成分が直接働きかける化学的作用があります。また、温泉の種類によって得られる効果も異なります。湯治ができる温泉の多彩な効果を詳しく見ていきましょう。

物理作用
湯治が健康に良いとされる理由の一つに、温泉の物理的な作用があります。湯治ができる温泉では、温熱・浮力・静水圧の働きが血流促進や筋肉の緊張緩和、リハビリ効果などをもたらします。
温熱作用、静水圧/浮力/活性
湯治ができる温泉に浸かることで血行が促進され、酸素や栄養が体の隅々に行き渡りやすくなります。同時に、血管が広がることで老廃物の排出もスムーズになり、疲労回復につながります。また、筋肉のこわばりをほぐし、心臓への負担を軽減する効果も期待できます。さらに、温泉の温かさは副交感神経を優位にし、リラックス効果をもたらします。ストレス解消や安眠効果を求めて湯治ができる温泉に行く人が多いのもこのためです。
浮力作用
湯治ができる温泉に入ると、水の浮力で体が軽くなり、関節や筋肉への負担が減ります。これにより、腰痛や関節の不調を抱える人、リハビリが必要な人でも無理なく体を動かせます。また、水の深さを調整することで運動の負荷を変えられるため、水中での歩行やストレッチなどが効果的な運動療法として活用されています。
静水圧作用
湯治ができる温泉では、水の圧力が体にかかり、特に下半身の血流が促進されます。これにより、むくみが軽減され、心臓の働きも活発になります。また、胸部への圧力で呼吸が少し制限されるため、無意識に呼吸筋が鍛えられます。これは呼吸機能の向上に役立ち、リハビリ効果も期待できます。
化学的作用
物理的作用以外にも、湯治ができる温泉では成分が体に化学的に作用しています。
血管に対する効果
湯治ができる温泉に含まれる成分の一部は、皮膚を通じて体内に浸透することで血流が改善され、血圧の安定につながります。特に硫黄泉や炭酸泉には血管を広げる効果があるとされ、高血圧や冷え性の改善が期待できます。
皮膚に対する効果
湯治ができる温泉の殺菌作用は、皮膚の健康維持にも役立ちます。硫黄泉などは強い抗菌作用を持ち、ニキビやアトピー性皮膚炎、真菌症などの症状の緩和に貢献します。また、炭酸水素塩泉には角質を柔らかくし、古い皮脂を取り除く作用があり、肌を滑らかにする効果が期待できます。一部の泉質にはメラニンの生成を抑える働きもあり、美肌効果があるともいわれています。
臓器への効果
湯治ができる温泉の成分は、体内に取り込まれることで、内臓にも影響を与えます。例えば、炭酸泉の二酸化炭素は呼吸器を刺激し、酸素供給を高めることで心肺機能をサポートします。また、硫黄成分は肝臓の解毒作用を助ける働きがあり、疲労回復にも有用です。
さらに、特定の温泉は消化器系にも作用し、胃腸の働きを活発にする効果があるとされています。湯治ができる温泉では、体の表面だけでなく、体の内側にも働きかけることが可能です。
温泉の種類別に湯治で得られる効果を紹介
湯治ができる温泉にはさまざまな種類(泉質)があり、それぞれ異なる効果を持っています。湯治ができる温泉を探す際に知っておきたい、泉質の効果について紹介します。
単純泉
単純泉は特定の成分が突出して多く含まれていない温泉で、肌や体への刺激が少ないのが特徴です。精神的なリラックス効果が高く、ストレス解消や不眠症の改善に適しています。
塩化物泉
塩化物泉は塩分を多く含み、湯上がり後に皮膚をコーティングして保温効果を持続させます。冷え性や末梢循環障害に対する効果が期待できます。また、塩分の殺菌作用により切り傷ややけどの回復を助けるとされています。
炭酸水素塩泉
炭酸水素塩泉は皮膚の角質を柔らかくし、汚れを落として肌を滑らかにするとされています。ナトリウムを多く含むものは血行促進に、カルシウムやマグネシウムを含むものは皮膚の炎症を抑える作用があり、アトピー性皮膚炎や慢性湿疹に効果が期待されます。
硫酸塩泉
硫酸塩泉にはナトリウム・カルシウム・マグネシウムが含まれ、それぞれ異なる効果を持ちます。ナトリウム型は保温と殺菌作用が強く、切り傷や皮膚疾患に適しています。カルシウム型は鎮静効果があり、関節痛や炎症を軽減する可能性があります。マグネシウム型は血流促進作用があり、高血圧や動脈硬化の改善が期待できます。
二酸化炭素泉
二酸化炭素泉は炭酸ガスが皮膚に吸収されることで血管を拡張し、血流を改善します。比較的低温でも温まりやすく、冷え性や末梢循環障害に効果的と考えられています。
硫黄泉
硫黄泉は強い殺菌作用を持ち、アトピー性皮膚炎や慢性湿疹などの皮膚の病気に向いているといえます。また、血管拡張作用があり、血流を促進して体を温める効果もあります。
含鉄泉
含鉄泉は鉄分を多く含み、飲用では鉄欠乏性貧血の改善が期待できます。
酸性泉
酸性泉は殺菌力が強く、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬に対する効果が期待されます。ただし刺激が強いため、肌の弱い方は入浴後に水で洗い流しましょう。
放射能泉
放射能泉(ラドン泉、ラジウム泉)は、高尿酸血症(痛風)の改善や関節リウマチ、強直性脊椎炎の症状緩和に効果があるとされています。微量の放射線が代謝を促進し、免疫機能を調整する作用が期待されています。
現代の湯治の活用法
限られた時間で効果を引き出す
これまで、湯治ができる温泉は、長期間滞在することが一般的でした。一方で、忙しい現代社会の人々にとって、湯治ができる温泉地に数週間も滞在するのは簡単ではないでしょう。近年提唱されている現代版の「新・湯治」では、現代のライフスタイルに合わせ限られた期間の中でも湯治ができるとして環境省から推奨されています。
リラックスと充足感
現代では、温泉に入ることは、病気を治すためだけでなく観光やレジャーでもあります。湯治ができる温泉でリラックスし日々の疲れを癒やして充足感を得る。これも現代の湯治といえます。
「未病」病気の予防
2017年に閣議決定された「健康・医療戦略」では「未病」(病気ではない状態)の定義が新たに盛り込まれました。人生100年時代といわれ、超高齢化社会に突入し国の医療費が膨れ上がっている現代では、「未病」であることが高い価値になります。健康な状態の人でもその状態をより長く保つために、湯治ができる温泉の活用は重要です。
湯治のやり方
湯治ができる温泉では、適切な回数とタイミングが効果的なことをご存じでしょうか。
また、湯治ができる温泉地を現代的に楽しむ、新しい湯治のスタイルについてもご紹介していきます。

基本となる湯治の方法
湯治の温浴回数
湯治ができる温泉に浸かるタイミングは、午前9時頃と午後9時頃の2回が効果的といわれています。これは、体温が昼に上昇し夜に下降するためで、特に午前9時と午後9時は体温が急激に変化する時間帯であるためです。また、副腎皮質ホルモンの分泌が午前3時と午後3時にピークを迎えるため、このリズムに合わせた入浴が効果的とされています。
朝の入浴はやや熱めで短時間にすることで交感神経を刺激し、体を活動モードにします。夜の入浴はぬるめのお湯にゆっくり浸かることで副交感神経が働き、リラックス効果や安眠を促します。体温やホルモンリズムに合わせた入浴は湯治の効果を最大限に高めます。
なお、伝統的な湯治では7日間を1セットとして2~4セット実施ことが必要ともいわれています。
新しい湯治の考え方
日帰りや1泊などの短期間
環境省による「新・湯治」プロジェクトの調査によると、日帰りや1泊2日といった短期間の滞在でも疲労が少なくなったと感じた人は8割以上もいました。つまりこうした短期間でも湯治の効果は実感できるのです。
湯治とともに楽しめる様々な体験
新しい湯治では、温泉だけでなく温泉地を訪れることで味わうことのできる要素も合わせて心身をリフレッシュすることが提案されています。温泉地に行った際は、絶景や自然の遊び、美容、交流、食、文化体験もぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
湯治ができるおすすめの温泉7選
湯治の行先に悩んでいる、あるいは湯治ができる温泉がどこにあるのかわからない、といった方のために、湯治ができる7つの温泉をご紹介します。

玉川温泉(秋田県、酸性泉)
玉川温泉は、八幡平と田沢湖の中間に位置し原世林に囲まれた、湯治ができる温泉地です。一か所の源泉としては日本一の湧出量で、 難病の治療や病後の療養を目的に全国から多くの方が湯治に訪れています。
効能としては、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬などの皮膚の病気や糖尿病とされており、日帰り入浴の利用もできます。
住所 | 秋田県仙北市田沢湖玉川渋黒沢 |
電話番号 | 0187-58-3000 |
公式サイト | https://www.tamagawa-onsen.jp/ |
肘折温泉(山形県、塩化物泉)
肘折温泉は、豪雪地帯に位置し、1200年以上の歴史を持つ湯治ができる温泉です。肘を折った老僧が湯につかり治癒したという伝説が残っており、古くより湯治場として栄えてきました。
湯治のアドバイスが受けられる「温泉療養相談所」もあるためサポートが万全です。
住所 | 山形県最上郡大蔵村南山505 |
電話番号 | 0233-34-6106 |
公式サイト | https://hijiori.jp/ |
草津温泉(群馬県、酸性泉)
湯治ができる草津温泉は、下呂温泉、有馬温泉と並んで日本三名泉の一つとされている名湯です。
強い酸性泉で「恋の病以外は効かぬ病はない」と言い伝えが残るほど高い効能で知られています。
一部の施設では、入浴指導の責任者の号令に従ってお湯を動かさないよう全員で一度にお湯に浸かり同時に上がるという伝統的な入浴方法も体験することができます。
住所 | 群馬県吾妻郡草津町草津28 |
電話番号 | 0279-88-0800 |
公式サイト | https://www.kusatsu-onsen.ne.jp/top.php |
有馬温泉(兵庫県、含鉄泉)
有馬温泉は、飛鳥時代からの記録がある日本三古湯の一つで豊臣秀吉にも愛されていた、湯治ができる温泉です。
海や火山活動がない土地で沸いていることもあり、単純温泉、塩化物泉、 炭酸水素塩泉、 硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄線、放射能泉と、世界的にも珍しい7つもの成分が混合した温泉です。昔ながらの土産物店や飲食店が賑やかに立ち並んでいる温泉街の散策が楽しめます。
住所 | 兵庫県神戸市北区有馬町 |
電話番号 | 078-904-0708 |
公式サイト | https://www.arima-onsen.com/ |
俵山温泉(山口件、単純泉)
俵山温泉は、916年に発見され江戸時代には長州藩のみ湯治ができる温泉でしたが、明治時代から一般の人でも湯治ができるようになりました。古くから湯治場として有名で、新・日本百名湯にも選ばれています。旅館には内風呂がなく外湯で湯治をおこなうという昔ながらのスタイルが受け継がれています。
住所 | 山口県長門市俵山5113番 |
電話番号 | 0837-29-0001 |
公式サイト | https://www.tawarayamaonsen.com/ |
道後温泉(愛媛県、単純泉)
道後温泉は、3000年の歴史を誇る日本最古級の名湯で、湯治ができるだけでなく、聖徳太子や夏目漱石が気に入っていたことで知られています。温泉宿が多く賑わっているほか、周辺には食事処や土産物店、神社仏閣など散策も楽しめる温泉地です。
住所 | 愛媛県松山市道後湯之町19番22号 |
電話番号 | 089-921-5141 |
公式サイト | https://dogo.jp/ |
別府温泉(大分県、二酸化炭素泉、塩化物泉など7泉)
別府温泉は、別府市の温泉の総称で源泉総数2,000以上もあり総湧出量も大規模な湯治ができる温泉地です。泉質としても7種類も確認されていて、砂湯や蒸し湯、泥湯といった変わった入浴法もあります。
温泉地としては、別府、浜脇、観海寺、堀田、明礬(みょうばん)、鉄輪、柴石、亀川という八つの場所に分かれていて(別府八湯)、それぞれ異なる歴史と個性があります。
住所 | 大分県別府市末広町1番3号 |
電話番号 | 0977-24-2828 |
公式サイト | https://onsendo.beppu-navi.jp/ |
まとめ
湯治は、古くから親しまれてきた伝統的な健康法で、湯治ができる温泉では、物理作用のほか、泉質ごとに様々な効果に期待が持てます。また、最近では、忙しい現代社会に合った新しい湯治も提案されています。
本記事でご紹介した湯治ができる温泉を訪れれば、きっと充実した湯治体験ができるでしょう。ご自身に合った湯治ができる温泉を見つけ、温泉の力で心と体をじっくり癒やしてみませんか?