ラドン浴はラジウム温泉などと並んで、がんやリウマチに効果が期待されている健康法の1つです。ラドン浴の特徴やラジウム温泉との違い、ラドン浴の効果などを解説していきます。
ラドン浴とは
ラドンはラジウムが壊変することで発生する、放射性の希ガスです。このラドンを体内に取り込むことをラドン浴と呼んでいます。
ラドン浴の方法はいくつかありますが、ラドン濃度の高い天然の坑道や、人工的にラドンガスを発生させた空間で過ごすことでラドンを体内に取り込みます。ラドンガスは肺から90%、皮膚から10%ほど吸収されます。
血液に溶け込んだラドンが、身体に様々な効果があるとされています。ラドンが健康に良いとされる理由として、ホルミシス効果という作用があります。
ホルミシス効果とは
ホルミシス効果とは大量で有害に作用するものが、ごくわずかな量だと人体に刺激を与えて活発化する現象のことをいいます。ラドンによるホルミシス効果の反応には、成長の促進や免疫性、回復力の向上などの効果があるとされています。
ラドンの効果と安全性
私たちは普段から、微量の放射線を浴びて生活しています。また食べ物にも放射線を含むものもあります。放射線は大量に浴びると危険ですが、例えばラドン温泉では、普段私たちが普通に生活している時に浴びている放射線の6分の1程度の被ばく量にしかならず人体への悪影響はありません。
ラドン浴の方法
ラドン浴の入浴方法は施設ごとに違いはありますが、大まかには以下の流れになります。
1.受付を行いコース内容選択
2.専用着に着替える(着替え不要の施設もあります)
3.血圧や体温を測る
4.設定された時間内、横になったり読書をしたりして過ごす
入浴前に飲水する場合や、入浴後に血圧を測るケースもあります。各施設のルールにしたがって入浴しましょう。1日の受入人数が決まっていたり、事前予約が必要だったりする施設もあるので、行く前に問い合わせてみるとより確実です。
ラドン浴の料金相場
ラドン浴の相場は1回約2000〜3000円、時間は30分〜1時間程度が多いようです。ラドン濃度によって金額が上がる場合もあります。お得な回数券などを用意している施設もあるので、何度も通う場合は購入を検討してみてください。
東京近郊でラドン浴をするには
東京都内をはじめ、埼玉・神奈川・千葉にラドン浴のできる施設があります。都内でラドン浴のできる施設は10数軒あります。ラドン温浴、ホルミシスルームなどでネット検索すると、お近くのラドン浴施設を探すことができます。
首都圏は比較的ラドン浴施設が多いですが、地域によっては施設や温泉がないこともあります。ラドン浴施設のない地域に住んでいる方にとって、ラドン浴をするために遠出をするのはハードルの高いことです。定期的に通うことも難しくなってしまいます。そんな方にはラドン発生器のレンタルや購入がおすすめです。
ラドン浴とラドン温泉の違い
ラドン浴とラドン温泉は混同されやすいですが、その内容には違いがあります。どちらもラドンを体内に入れて健康増進をはかるという点では同じですが、ラドン浴は実際にお湯につかるわけではありません。ラドン温泉はその名のとおり温泉で入浴しますが、ラドン浴はラドンガスの吸引を指します。
ラドン発生器から直接吸入する方法と、ラドン温浴などで吸引する方法があります。
ラドン発生器による吸引の特徴
ラドンを発生させる機械から、専用のマスクやカニューレを装着してラドンガスを吸入します。温泉や温浴施設に出向くことなく、自宅でラドン浴ができるのがメリット。ラドン濃度や吸引時間の設定・調節もできます。
ラドン温浴の特徴
ラドン温浴はラドン熱気浴とも呼ばれています。ラドン浴専用の施設では、高濃度のラドンガスで満たされた部屋や坑道において、一定時間過ごすことでラドンを体内に取り入れます。ラドンルームやホルミシスルームと言われることもあります。
空間は室温32〜42℃、湿度80〜90%ほどの高温多湿になっています。天然の坑道や温泉熱を利用した施設もあれば、人工的にラドンガスを発生させている施設もあります。人工的なラドン浴施設の場合、ラドンガスが発生する鉱石が室内に設置されており、濃度を調節することが可能です。
ラジウム温泉の入浴中にもラドンガスの吸引はできますが、その日の風の強さなどによって濃度は変わってしまいます。
ラドン温浴は常に一定の濃度のラドンガスを吸入でき、服を着たまま気軽に利用できる点が魅力と言えるでしょう。本を読んだりうたた寝したりと、温泉より自由度の高い過ごし方ができるのも嬉しいポイントです。
ラドン(ラジウム)温泉の特徴
日本には各地にラジウム温泉があり、湯治場として知られています。ゆったりと温かい湯につかることで、血行促進や温熱効果、疼痛緩和などが期待できます。
お湯に溶け込んだラドンと、立ち上る湯気に含まれるラドンの両方を取り込むことができるのがポイントです。温泉地に出掛けることや豊かな自然を楽しむことで、心理的にもリフレッシュできます。
温泉は泉質によって禁忌症がありますので、該当しないかチェックしてから入浴しましょう。温浴に比べ体に負担がかかるので、体調や病状と相談しながらの利用が望ましいです。
ラドン浴の放射線量はどのくらい?
放射線を表す単位には、ベクレルやシーベルトがあります。これらはそれぞれ使われる対象が違います。まずはこの単位について確認してみましょう。
ベクレル・シーベルトとは
ベクレル(Bq)は放射能の量を表す単位です。ある物質や空間にどれだけの放射性物質が含まれているかを示すときに使われます。
シーベルト(Sv)は人体が受ける被ばく線量を表す単位です。ある放射線によってどの程度の影響を受けるかを示すときに使われます。ベクレルをシーベルトに換算すると、1ベクレル=0.019マイクロシーベルトとなります。
主なラドン浴施設の放射線量
世界的にも有名な熱気浴施設、オーストリアのハイルシュトレン坑道の空気中ラドン濃度は1平方メートルあたり44,000ベクレルです。
ラドン浴による放射線量は施設によって違いますが、兵庫県姫路市の坑道ラドン浴施設「富栖の里」では1平方メートルあたり500ベクレル、三重県三重郡のラドンセラピー健康施設「希望荘 ラドンの泉」では1平方メートルあたり18,000ベクレルとなっています。
施設によってはラドン濃度の違う複数の部屋を完備していることもあり、好きな濃度を選んでラドン吸引することが可能です。
何シーベルトまでなら安全なの?
環境省によると、100〜200ミリシーベルト以上の線量で、がん発生リスクが上がるとされています。日本で自然に浴びる放射線量の平均は、1人当たり約2.1ミリシーベルトです。
国際放射線防護委員会では、個人の線量限度は平常時で年間1ミリシーベルト、緊急時で年間20〜100ミリシーベルトと定めています。この線量限度にX線撮影などの医療被ばくは含みません。
また、100ミリシーベルト以下の被ばくにおいて、人体への影響は確認されていません。
ラドン浴の危険性
ラドン浴施設やラドン発生器には高濃度をうたうものも多いですが、毎日利用しても線量限度に届かない程度の微量です。ドイツやオーストリアではラドン浴が1つの療法として認められ、保険適用となっています。
微量の放射能は自然界に存在しており、飲料水や食物の中にも含まれていますので、過剰に恐れる必要はないでしょう。
ラドン浴の効果
ラドンガスが体内に入ると、ラドンから発生するアルファ線によって細胞や組織が刺激されます。刺激を受けた細胞は本来持っている力を引き出され、心身に良いことが起こるとされています。
これは、極低線量の放射線に活性酸素を抑制する働きがあるからです。活性酸素は体にとって必要なものですが、過剰になると老化やがんの原因になると言われています。この活性酸素を有効に排除することで様々な健康増進効果を得るというのがラドン浴の考え方です。
アルファ線による作用には次のようなものがあります。
●新陳代謝の向上
●免疫力の向上・調整
●抗酸化作用
●アレルギー抑制
●ホルモンバランス調整
●神経機能の改善
ラドン浴の具体的な効果の例
ラドン浴によって実際に得られる具体的な効果をいくつかご紹介します。
●夜よく眠れるようになる
●疲れが溜まりにくくなる
●体の痛みが楽になる
●肌が綺麗になる
●イライラが減る
ラドン浴の適応疾病
適応疾患の例として以下が挙げられています。
慢性疲労、自律神経失調症、更年期障害、うつ病、パニック障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中後遺症、高血圧、心不全、COPD、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、慢性肝炎、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、糖尿病、慢性関節リウマチ、甲状腺機能亢進症、橋本病、アトピー性皮膚炎、各種がん、腰痛、肩こり、偏頭痛、神経痛、線維筋痛症、重金属中毒 |
ラドン浴はこんな人におすすめ
●肌を綺麗に保ちたい、若返りたい方
●健康で長生きしたい方
●夜よく眠れない方
●寝ても疲れが取れない方
●冷え性を改善したい方
●風邪を引きやすい方
●体の痛みを軽減したい方
●がんの進行を抑えたい方
ラドン浴はがんやリウマチといった難病の患者さんの利用も多く、これらの疾病が改善した・再発せずに済んでいるといった報告もあるようです。
もちろん病気の方だけでなく、なんとなく疲れが取れない、若さを保ちたいといった健康増進や美容効果を期待する方にもおすすめです。
ラドン浴に副作用はあるのか
ラドン浴で吸引する放射線量はわずかなものであり、体内に留まるものではないため特に副作用はありません。体内に入ったラドンは2時間ですべて体外へ出てしまいます。放射線は大量に浴びると危険ですが、ラジウム温泉で浴びる放射線の量は非常に微量なものです。
ラドン浴で微量の放射線を浴びることによる副作用はないとされていますが、通常の入浴や熱気浴と同様に脱水症状には注意が必要です。温浴前後の水分補給を心掛け、長く入りすぎないよう適度な時間設定をしましょう。
ラドン浴の好転反応
ラドン浴後に疲労感や頭痛などの体調不良があらわれることがあり、これを好転反応と呼ぶことがあります。回復に向かおうとする体の極度な反応で、一過性のものとされています。食欲不振や下痢などの症状として出ることもあるようです。
全ての人に起こるわけではなく、症状や好転反応の続く期間には個人差があります。良い反応であり不安視しなくて良いと言われていますが、思わしくない症状が続くときは医療機関を受診しましょう。
ラドン浴が禁止されている病気は?
ラドン浴が禁止されている疾病は特になく、ラドン浴は微細なアルファ線およびガンマ線を浴びますが、副作用が生じることは極めて稀で、特定の疾病だと受けられないということは基本的にありません。
一方で前述のとおり、一般の岩盤浴や低温サウナと同様に脱水状態には注意が必要となります。意識して水分補給を行いましょう。
また高熱などの体調不良が著しい方の利用は、控えたほうが良いでしょう。ご自身の体調に合わせてラドン浴を利用してください。
ラドン浴の頻度はどのくらい?
ラドンは体内に留まることはなく、短時間で体から排出されます。一度行けばずっと効果が持続するというものではありません。
ラドン浴施設によっておすすめの頻度には差がありますが、概ね週に1〜3回の頻度で数ヶ月〜半年程度続けると効果が出やすいと言われています。
高頻度で利用すると体に悪影響はある?
ラドン浴は毎日行っても特に問題はないとされています。ラドン浴施設やラドン発生器の利用を日々の日課としている方もいるようです。
ラドン浴は自宅でも可能
ラドン浴は特定の施設や温泉地へ行かなくても、専用の機器があれば自宅で吸引が可能です。家庭用のラドン発生器があればどこでもラドン浴ができますので、外出が難しい方や近くにラドン浴施設がない方に、おすすめしたい方法です。就寝中にラドン浴をすることもできます。
ラドン発生器は高価ですが、レンタルサービスもあります。また、ラドン浴施設に備え付けられていることもあります。どんな機械か知りたい方は、短期間レンタルしたり、施設で試しに使用したりすれば使用感や効果を確認することができるでしょう。
感染症が気になる昨今、出掛けずに済むというのは大きな利点となります。また、週に何度もラドン浴施設に通うのは簡単ではありません。その都度お金もかかりますし、予定を調整する必要もあります。
こういった不都合を解決してくれるのが、ラドン発生器の自宅利用なのです。
まとめ
ラドン浴にはいくつか方法があり、ラドン浴を受けられる場所も複数あります。体調や目的、生活スタイルなどに合ったラドン浴を選んでみてください。
ラドン浴で浴びる放射線量は極微量です。繰り返しラドン浴を続けることでより大きな効果が得られると言われています。できるだけ負担のかからない方法でラドン浴を続けてみましょう。