温泉の効果効能とは?健康になるために大切なこと

温泉の効果効能とは?健康になるために大切なこと

近年、季節に関わらず温泉に行かれる方が老若男女問わず増えています。健康増進、ストレス解消、リフレッシュなど温泉には多くの効果が期待されています。しかし、漠然と「温泉が健康に良いこと」は分かっているものの、具体的にどのような効果効能があるのかは知らない方も少なくありません。

そこで、今回は温泉における効果効能や、健康を目指すうえで大切なポイントなどについて詳しく触れていきます。

温泉とは

温泉とは

そもそも「温泉」とは、何のことを指すのでしょうか。

まずは温泉の定義について見ていきましょう。

「温泉」の定義

温泉は、地中から湧出する温水や水蒸気、鉱水、各種ガスなどとして定義されています。日本の「温泉法」でも定められている定義であり、一般的なお風呂との大きな違いでもあります。

そのため、水道水を使って入浴サービスを提供している場所は温泉とはいいません。一般的な銭湯の多くは水道水のお湯を使っているため温泉には該当しないことがほとんどです。

健康のために温泉を楽しみたいと考えている方は、上記の定義に該当している施設であるか否かを確認する必要があります。

温泉に期待される効果

温泉に期待される効果

温泉に期待される効果は様々です。体への効果はもちろんのこと、精神的な面への効果も期待できます。

具体的にどのような効果が期待されるのか見ていきましょう。

温泉による入浴の効果

温泉にはどのような効果が期待できるのか、まずは体への効果について詳しく見ていきます。

温熱効果

温泉に入浴することで得られる効果として、まず挙げられるのが温熱効果です。温熱効果とは体が温まることによって得られる効果を指します。

温泉に浸かって体を温めると、血の巡りが良くなります。これは、入浴して体が温まることで血管が広がるためです。血液に含まれる酸素や栄養が全身に巡りやすくなるのがメリットです。

結果的に新陳代謝が促進され、不要なものの排出を促します。疲労物質の「乳酸」を取り除くことで、疲労回復を実現できます。

水圧効果

温泉への入浴で得られる効果の一つが水圧効果です。温泉に入ることで、体が水の圧力を受け、体を適度に刺激してくれます。

とくに、血液が滞りやすい下半身は、水の圧力を受けることで、血液を上半身や心臓へと押し戻しやすくなり、全身の血行の循環を促すことができます。

足がむくみやすい方は、温泉に浸かってこの水圧効果を得ることで、すっきりとした足元へと導きやすくなります。

浮力効果

温泉は水であるため、「浮力」が存在します。浮力があると、関節や筋肉への負担を軽減しやすくなります。普段自分の体重を支えている関節や筋肉は酷使しやすい部分であるため、温泉で定期的に負担を軽減する必要があるのです。

また、浮力には筋肉を緩める効果もあります。筋肉が緩むと「α波」と呼ばれる脳波が生じ、脳のリラックス効果も期待できます。

温泉に入浴する心理的効果

温泉に入浴することで、精神的に良い効果も期待できます。

体を温めることで、自律神経が整いやすくなるといったメリットがあるのです。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つで成り立っていて、どちらが優位になるかで心身の状況は大きく変化します。

たとえば、交感神経が優位になると心身が活動モードに切り替わりますし、副交感神経が優位のときにはリラックスモードが優位になる傾向にあります。

温泉に入り、体が温まると副交感神経が優位になるため、心身の緊張をほぐしリラックスした状態になれるのです。就寝前や疲れていてゆっくりしたい時、ストレス解消をしたい時などは、温泉で副交感神経を優位にすることが望ましいでしょう。

温泉成分によって得られる効果

一般的なお風呂とは異なり、温泉には特有の成分が含まれており、これが健康効果に影響すると考えられています。具体的な効果は、泉質によって異なるものの、自律神経不安症や鬱病、不眠症、便秘、切り傷など、温泉成分によって得られる効果は多岐にわたります。

そのうえ、温泉はわずか1回の入浴でも健康効果が期待できます。そのため、通いやすい距離に温泉がなくても、旅先で1回入浴する程度でも効果を実感しやすいでしょう。

泉質別の効能や適応症

泉質別の効能や適応症

ここからは、泉質別の効能や適応症などについてご紹介します。実際に心身にどのような影響をもたらすのか、気になる方は参考にしてみてください。

単純温泉

温泉の種類として比較的多いのが「単純温泉」です。湧出温度が25度以上であるのが特徴で、pHが8.5以上の場合に「アルカリ性単純温泉」として分類されます。

高齢者はもちろんのこと、幼い子どもでも安心して入浴できるほど負担が少ない温泉です。肌トラブルを抱えやすい方でも安心して入浴しやすいでしょう。

適用症は、うつ状態や不眠症、自律神経不安定症などです。精神的な不調に適した温泉と言えます。

塩化物泉

塩化物泉は、塩分を含む温泉です。火山の近くもしくは海岸沿いなどに多く見られる温泉であり、限られた場所でしか見られません。

温泉に含まれる塩分が体の保湿を促し、同時に保温効果も期待できます。寒い時期や乾燥しやすい冬の季節にもピッタリでしょう。また、切り傷や冷え性、便秘、萎縮性胃炎など適応症は多岐にわたります。

炭酸水素塩泉

炭酸水素塩泉は、文字通り炭酸を含む温泉のことです。特有の性質によって、肌の表面を柔らかくする効果があります。皮膚上にある余分な脂肪を乳化させることができ、皮膚から洗い流せるのが魅力です。

適応症は皮膚乾燥症や冷え性、胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などが該当します。

硫酸塩泉

硫酸塩泉は、傷の湯や中風の湯などと呼ばれ、古くから親しまれてきた温泉です。保湿効果のほか、血圧を下げる効果もあり、体のケアにピッタリの温泉として挙げられます。

また、カルシウムを含む泉質である場合には、保温効果も高いといった特徴があります。体が温まることで、腰痛や肩こりも解消することが可能です。

なお、主な適応症は胆道系機能障害や高コレステロール血症、便秘などが挙げられます。

二酸化炭素泉

炭酸ガスである二酸化炭素を含んでいる点が特徴なのが、二酸化炭素泉です。しばらく入浴していると、肌に気泡がつく温泉です。

血管を広げる効果のある温泉であり、血液の流れを改善して酸素や栄養素を体の末端にまで運びやすくなります。

二酸化炭素泉の適応症は、切り傷や冷え性、末端循環障害などです。

含鉄泉

含鉄泉は、茶褐色な色合いが特徴の温泉です。湧出して間もないうちは無色透明であるものの、温泉に含まれる鉄分が酸化することで茶褐色へと変化します。

保温性が高く、体をしっかりと温める効果があり、温泉地によっては飲むことも可能で、鉄欠乏症貧血の改善も期待できます。

末端循環障害や冷え性、関節リウマチなどが適応症として挙げられます。

酸性泉

酸性泉は、pH3未満である温泉のことです。酸を含んだ温泉であるため殺菌効果を期待できます。皮膚の健康を維持するとともに、体の調子を整えることが可能です。

ただし、一方で体への刺激が強いといった注意点もあるため、肌がデリケートな方は十分な注意が必要です。

酸性泉の適応障害には、表皮化膿症や糖尿病、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎などです。

含よう素泉

含よう素泉は、「ヨウ素」を含む温泉です。活性度が高く、殺菌力も強いのが特徴で、一般的には傷薬にも用いられています。

飲泉が可能な含よう素泉の温泉の場合は、代謝を促す効果も期待できます。甲状腺ホルモンが活発化するため、体全体のエネルギーの消費を促進するためです。

適応症は、入浴の場合は肩こりや腰痛などであり、飲泉の場合は高コレステロール血症の改善を期待できます。

硫黄泉

硫黄泉は、温泉特有の香りが特徴の温泉です。硫黄泉に含まれるガスは毛細血管を広げる効果があるため、冷え性はもちろんのこと、動脈硬化の改善にも期待できます。

体への刺激が強いのが注意点ではありますが、角質を柔らかくし、皮膚疾患にも作用してくれるメリットがあります。

硫黄泉の適応症は、アトピー性皮膚炎や慢性湿疹などの肌トラブルのほか、糖尿病にも効果的です。飲泉が可能な硫黄泉であれば、高コレステロール血症にも作用します。

放射能泉

放射能泉は、文字通り「放射能」を含む温泉です。しかし、人体に害はなく、微量の放射能が体の細胞を刺激して、健康効果を促進します。また、入浴することで皮膚から成分を吸収するだけではなく、吸入でも体内に取り込むことが可能です。

適応症は痛風や関節リウマチなどの慢性的な痛みのほか、強直性脊椎炎も該当します。

効果効能を高める温泉の入り方

効果効能を高める温泉の入り方

効果効能を高めるためにも、どのような入浴方法が適しているのでしょうか。ここからは、健康のために温泉に入浴したい方に向けて、適切な入浴方法を解説します。

温泉に入る前の準備

温泉に入る前には、まずコップ一杯分の水分補給を済ませておいてください。入浴中は汗をかくため、脱水を防ぐためにも水を飲んでおきましょう。

また、食事から30分はあけてから入浴してください。入浴そのものが胃腸に負担をかけるため、食事直後に温泉に入るのはNGです。

温泉に浸かる直前の準備

効果効能を高めるためにも、まずはかけ湯をしましょう。少しずつ体を温めてから入ることで、体への負担を軽減しやすくなります。

手先や足先など、心臓から遠い箇所からかけ湯をしていきましょう。

入浴中に心がけたいこと

入浴中はぬるめのお湯に入るのが望ましいです。およそ38〜40度のぬるま湯は心臓への負担が少なく安全に入浴できます。時間は20分を目安にして、長すぎる入浴は避けましょう。

なお、のぼせやすい方は無理に20分入る必要はありません、適宜休憩をはさみながら自分のペースで温泉を楽しんでください。

上がる時の注意点

温泉から上がる際にかけ湯をするのは避けましょう。温泉成分が洗い流されてしまい、せっかくの効能が半減してしまいます。

ただし、酸性の温泉に入浴した場合は肌への刺激を軽減するためにも、軽くかけ湯をすることがオススメです。

上がった後にしたいこと

温泉から上がったら、水分補給をしましょう。一気にたくさんの量を飲むのではなく、コップ1杯の水を少しずつ飲むのがベストです。

また、入浴は想像している以上に体へ負担がかかるため、温泉から出たらゆっくりと体を休めましょう。

のぼせてしまった場合の対処法

万が一、温泉に入浴していてのぼせてしまった時には、とにかく水分補給と休息が必須です。意識がなくなるほどのぼせてしまったり、自力で水分補給が難しくなったりした場合には、すぐに救急車を呼んで手当をしてもらう必要があります。

ヒートショックなど安全に温泉を楽しむために注意したいこと

冬の温泉はとても人気ですが、ヒートショックのリスクがあることを忘れてはいけません。寒い場所から急に暖かい温泉に浸かることで、血圧が急に変化してしまう恐れがあります。意識を失ってしまう心配もあるため、かけ湯をして少しずつ体を温めるなど、体への負担が少ない入浴方法を意識しましょう。

温泉は飲んでも大丈夫?

温泉は飲んでも大丈夫?

温泉について調べてみる「飲める温泉」について目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。飲むことで得られる効果があるのは事実ですが、本当に飲んでもいいのかは気になるところです。

ここからは、飲泉可能な温泉の効果や注意点について解説します。

飲泉可能な温泉とその効果

飲んでも問題のない温泉は意外にも少なくありません。日本ではあまり見かけない光景ですが、海外では温泉を飲むことがごく普通に行われている地域もあります。

温泉を飲むことで体にその成分を直接取り込むことができ、より高い温泉効果を期待できると考えられています。

飲泉時の注意点

飲泉という言葉があるとはいえ、すべての温泉が飲泉可能なわけではありません。都道府県の許可を得た温泉のみが飲泉を認められているため、必ずしも自分の利用した温泉が飲泉可能とは限りません。

また、飲泉は入浴する場所とは別の場所に設けられているものを飲みます。人々が入浴している場所の温泉を飲むのは避けましょう。

温泉に禁忌はある?

温泉に禁忌はある?

温泉に入るにあたって、禁忌があるのか気になる方は多いのではないでしょうか。ここからは、具体的な禁忌症や、注意すべき健康状態を解説します。

温泉入浴の禁忌症

温泉入浴の禁忌症には、様々なものが挙げられます。一般的な禁忌症としては、活動性の結核や急性疾患、悪性腫瘍、呼吸不全などが挙げられます。また、程度の重い貧血や出血を伴う疾患も禁忌症として挙げられるため、該当する場合には注意が必要です。

温泉入浴の際に注意すべき健康状態

温泉に入浴する際には、飲酒後のタイミングは避けてください。入浴中に眠ってしまって溺れたり、転倒したりする危険性があります。

また、血圧に問題を抱えている場合は、むやみに入浴することは避けた方がいいでしょう。血圧が大きく変動し意識を失ってしまうなど、深刻な事態に陥る可能性があるため注意してください。

健康になるために日頃から気を付けること

健康になるために日頃から気を付けること

健康になるためにも、私たちが日頃から気を付けるべきことは何なのでしょうか。本項からは、日頃の生活の中で実践できる健康への取り組みを解説します。

日常生活での健康管理

健康になるためにも、日常生活での健康管理を始めましょう。その日の体調や体温などの記録をとったり、質の高い睡眠を徹底したりするなど、健康管理は健康への第一歩といっても過言ではありません。

自分の日頃の健康状態に目を向ける習慣を付け、健康管理として日々継続していきましょう。

適切な食生活と運動

健康のためには、温泉に入るだけではなく、規則正しい食生活や適度な運動も必要です。いずれも体づくりの基本であるため、体にやさしい食事メニューを取り入れたり、体を動かす機会を増やしたりするなどして健康のためにも、気を付けてみてください。

温泉を利用した健康維持の秘訣

温泉を利用して健康を維持するためには、定期的に温泉に入浴することがおすすめです。

1回だけの入浴でも十分効果は期待できますが、前回の入浴から期間が経ってしまうと、元の状態に戻りやすいといった難点があります。

可能であれば定期的に温泉を利用し、健康効果を持続できるようにしましょう。

まとめ

温泉の効果効能のほか、健康になるための秘訣などについて解説

本ページでは、温泉の効果効能のほか、健康になるための秘訣などについて解説しました。

温泉は健康ブームの火付け役と言っても過言ではなく、近年は世代を問わずに多くの利用者で各地の温泉地が賑わっています。

メディアでも数多く温泉をテーマにした特集が取り上げられるようになり、今後もより一層、温泉×健康のテーマは関心を集めると考えられるでしょう。

ぜひ、今回ご紹介した内容を参考にしながら、温泉を利用した健康対策について検討してみてはいかがでしょうか。