ラジウム温浴とは?期待できる効果や注意点など解説

  ラジウム温浴とは?期待できる効果や注意点など解説

忙しい毎日を過ごしていると睡眠が十分に取れず、日中にだるさを感じることはありませんか。休日が明けても疲れが取り切れないといったパターンも少なくありません。健康志向の高まりもあり、温泉を利用する方もいらっしゃるでしょう。

温浴とは、お湯に浸かることで、なかでもラジウム温泉を利用すると疲労回復につながるなどさまざまなメリットがあります。この記事では、ラジウム温浴とは何か、期待できる効果や注意点を解説します。ぜひご自身の体をいたわり、健康づくりに役立ててください。

ラジウム温浴とは?

ラジウム温浴とは?

ラジウム温浴とは、ラジウム温泉や、ラジウムから変化した気体のラドンが含まれる温泉に入ることです。温泉に含まれる有効成分が体に良い作用を与え、健康効果が期待できます。

温浴とはなにか?

温浴とは温かいお湯に浸かることで、温泉に入ったり、入浴したりすることです。日本各地にはさまざまな種類の温泉があります。環境省が分類する温泉の区分は全10種類あり、ラジウム温泉は、そのうちのひとつである放射線泉です。

しかし、お湯につからなくても温浴とよばれているものもあります。たとえば、遠赤外線や蒸気を用いた熱気で体を温めるサウナやミストサウナ、ゲルマニウム温浴、岩盤浴などが健康増進につながる温浴法として注目されています。こうしたことから、温浴はお湯に浸かることだけと限定せず、体を温めて健康にするという意味合いで使われることが多いです。

参考 温泉のいろは|環境省

そもそもラジウムとは?

ラジウムは、ウランやトリウムなどの放射線の元素が崩壊していく過程で生成され、ノーベル賞を受賞したキュリー夫人により発見された放射性の物質です。ラジウムは、土壌や岩石などの自然界に含まれており、放射線の一種であるα(アルファ)線を出しながら変化していきます。その性質を利用して、骨に転移したがんの治療などにも用いられています。

ラジウムが変化してできた物質がラドンで、これは味やにおいのないガスです。ラジウム温泉にはこの気体であるラドンが湯気に含まれています。放射線と聞くと、体に悪影響を及ぼすのではないかと心配になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、微量の放射線は体に良い作用をもたらすことがわかっています。

ラジウム温浴で期待できる効果

ラジウム温浴で期待できる効果

ラジウム温浴で期待できる健康効果はさまざまです。ここではラジウム温泉に入ることで得られる効果について説明します。温泉自体によるものと、ラジウムの働きによる健康効果について見てみましょう。

温泉そのものによる効果

温泉に浸かることで得られる主な作用は、温熱作用・静水圧作用・浮力作用です。まず、温熱作用で体が温まると血液循環が良くなり、疲労や痛みの原因となる物質が排出されやすくなります。また、酸素や栄養素の運搬もスムーズになるため、けがの修復にも役立ちます。

静水圧作用とは、お湯の中に入って水圧がかかることで得られる作用です。全身にマッサージ効果が感じられ、血行が促進されます。これにより、むくみの改善につながるでしょう。

また、お湯に入ると浮力が働き、体が重力から解放されることを浮力作用といい、自分の体が軽く感じられ、リラックス効果が得られます。関節や筋肉へかかる負担が軽減されるため、腰痛や肩こりで悩んでいる方にも効果的です。

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ラジウムによる効果

ラジウムが体内に取り込まれると、その成分は細胞に働きかけ、さまざまな健康効果が期待できます。主な効果は、新陳代謝が活発となり、老廃物の排出が促されることによる疲労の回復や、血行が良くなることで冷え性が改善するなどです。

また、炎症を抑える作用により、関節痛・神経痛や筋肉痛の緩和にもつながります。さらに、自律神経を整える働きもあることから、ラジウム温浴をすると心身ともにリフレッシュができます。

また、細胞伝達物質や免疫機能として働く活性酸素は、過剰になると細胞を障害し、がんや心臓病などの生活習慣病につながるといわれています。ラジウム温浴をすることで、余分な活性酸素を除去する働きが期待されています。体のサビともいわれる過剰になった活性酸素が除去されると、アンチエイジング効果が得られるのもメリットです。

ラジウム温浴の利用方法

ラジウム温浴の利用方法

さまざまな健康効果が得られるラジウム温浴を利用するにはどのようにすればよいのでしょうか。ここからは、お湯に浸かること以外のラジウム温浴方法についてもご紹介します。

ラジウム温泉を利用する

全国各地には魅力的なラジウム温泉があり、健康や病気・ケガの療養のために利用する人も多くいらっしゃいます。具体的には、鳥取県の三朝温泉、新潟県の村杉温泉、山梨県の増富温泉、秋田県の玉川温泉などです。

ラジウムが変化したものが気体のラドンであり、ラドン温泉を利用することでも微量な放射線による健康効果が期待できます。なお、ラドンは人工的に作り出すことが可能で、人工ラドン温泉では適量の成分が安定して供給されるため、健康成分を効果的に吸収できます。ラジウム温泉に出かけたくても遠方であったり、時間がなかったりする方は、お近くの人工ラドン温泉を利用するのも良いでしょう。

ラドン浴を利用する

ラジウムが変化した気体のラドンを体内に取り込めるラドン浴することも健康増進につながります。ラドン浴は実際にお湯に浸かる手間もかかりません。施設によって方法はさまざまで、ラドンが含まれる坑道を利用したものや、ラジウム鉱石を含有するラドンルームなどがあります。

なお、ラドミスではラドンと酸素をカプセル内で吸入できる、ラドン温泉ホルミシスルームが利用できます。全身から健康成分を取り込むことができ、ラジウム温浴が効率的にできます。

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ラジウム温浴の家庭用品を利用する

仕事の都合や、持病を抱えているなどの事情により、ラジウム温泉まで足を運ぶことができない人もいらっしゃいます。お住まいの地域には人工ラドン温泉やラドン浴がないという場合もあるかもしれません。そのような場合には、自宅でラジウム温浴をすることをおすすめします。

入浴剤を利用すると自宅にいながらラジウム温浴が楽しめます。また、専用のチューブやマスクを用いたラドン吸入器を使用する方法もあります。こうした手軽にラジウム温浴ができる家庭用品を利用すると、他人の目を気にせず、心安らぐ空間で過ごせるため、リラックス効果もより高まるでしょう。

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ラジウム温浴の注意点

ラジウム温浴の注意点

ラジウム温泉は、放射能泉の中でも、刺激が強い泉質です。なかには、成分が合わない人もいます。

また、温泉には禁忌(きんき)といって、入浴を控えた方が良い場合もあることを知っておきましょう。心臓、肺、重い腎臓病などの病気がある人、進行した悪性腫瘍など、持病のある方は医師に相談しておくと安心です。ここからは、ラジウム温浴をする場合、実際にどのような点に注意したらよいのかを説明します。

入浴前

熱があるとき、体調がすぐれないとき、持病が悪化しているときなどは、入浴を控えてください。食事の直前・直後を避けることが大切です。入浴は血流量が増加するため、内臓への血流量が減少してしまいます。

その結果、消化機能が低下して消化不良や腹痛などをおこすおそれがあります。また、飲酒すると血行が良くなりすぎるため、入浴前の飲酒は避けた方が無難です。なお、入浴する際には脱水予防のため、水分補給を忘れないようにしましょう。

入浴中

お湯に浸かる前には、必ずかけ湯をしてください。心臓から離れている手足の先からかけ湯をすると体への負担が軽減できます。最初はぬるめのお湯から入ることで体を慣らすことができます。

ラジウム温浴で得られる効果の大半は、皮膚から吸収されるよりも、ラドンを吸い込むことによる肺からの吸収であるため、リラックスしてゆっくりと蒸気を吸い込むことが重要です。入浴時間は10〜15分程度が望ましく、長時間の入浴はやめておきましょう。人によって効果は異なるため、体調に異変を感じたら、すぐに湯船から出て休むようにしてください。

入浴後

ラジウムの成分を洗い流さないように、体を優しくタオルでふき取ります。入浴後は皮膚が乾燥しやすいため、保湿クリームを使用するのがおすすめです。入浴は体力を消耗するため、入浴後には水分補給をしてゆっくりと体を休めてください。リラックスすると自律神経も整います。

ラジウム温浴は危険?

ラジウム温浴は危険?

ラジウムは放射性の物質で、被ばくが気になる方もいらっしゃるでしょう。しかし、ラジウム温泉に含まれる放射線は微量で、健康には悪影響を及ぼさないといわれています。ラジウム温浴では、少量の放射性物質の働きが、ホルミシス効果とよばれる体にとって良い効果をもたらすと期待されているのです。

被ばく量は少ない

ラジウム温浴は放射線物質を含みますが、温泉を利用して受ける放射線量は少量です。実は、私たちの日常生活において、空気中や大地、食物などから放射線を受けている場面は多くあります。地域によって土壌や岩石にも違いがあるため、含まれる物質の量も異なります。

環境省による調査の、自然放射線による年間線量は以下の通りです。

  • ●自然放射線による年間線量(日本平均)2.1mSv(ミリシーベルト)
  • ●自然放射線による年間線量(世界平均)2.4mSv(ミリシーベルト)

世界と比べて日本では、自然から受ける放射線が少ないことがわかります。しかし、日本は自然放射線よりも病院などで受ける検査の方が被ばく量は多く、胸部エックス線検査では、1回0.06mSv、 CT検査ではさらに線量が多い2.4〜12.9mSvと報告されています。

また、ラジウムが変化したラドンガスは、吸い込んでもすぐに排出されるのが特徴です。このことから、ラジウム温浴は問題なく利用できるといえるでしょう。

ただし、ラドンは、肺がんの主な原因のひとつで、高濃度のラドンを長期間にわたって吸い込むと肺がんのリスクがあるという報告があるのも事実です。とはいえ、適切な方法で利用するとホルミシス効果が得られるため、ラジウム温浴は、健康に良い効果をもたらしてくれます。

出典:放射線による被ばく|環境省

ラジウム温浴ではホルミシス効果が得られる

ホルミシス効果とは、大量であると有害となるものが、少量の場合は有益に働くことです。身近なものでは、生活の中で浴びている日光もホルミシス効果といえます。微量の紫外線はビタミンDを生成し、カルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にする効果があります。

また、日光を浴びることで幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が促されるメリットも。しかし、過度の紫外線を浴びると、日焼けのトラブルや皮膚がんのリスクを高めてしまいます。こうした微量であるために、良い作用をもたらすことがホルミシス効果です。

ラジウム温泉に含まれる少量のラジウムの働きにより、体によい影響を与えてくれます。しかし、人によっては成分が合わない人もいるため、注意が必要です。

海外では保険適用

オーストリアのバート・ガスタインの天然ラドン坑道では、呼吸器や関節、皮膚の病気に効果があると考えられており、健康保険が適用されています。イタリアの国境に近いこの地は、かつては金を採取していた坑道です。作業員は重労働であるにもかかわらず、病気になりにくく、疲労回復も早かったことから注目されました。

ここでは、強直性脊椎炎の患者さんに症状改善が認められています。また、ドイツの放射能泉保養地であるバード・クロイツナッハも洞窟内でラドンガスの吸入療法がおこなわれており、リウマチ患者さんにも効果が得られています。

まとめ

ラジウム温浴とは、主にラジウム温泉のお湯に浸かることです。しかし、お湯に浸かること以外でもラジウム温浴として親しまれているものもあります。ラジウム温浴をすると、放射線物質であるラジウムの働きにより、疲労回復や抗炎症作用による痛みの緩和、余分な活性酸素を除去することによるアンチエイジング効果などの健康効果が期待できます。

温泉地まで出かけることが困難な場合は、お近くにある人工のラドン温泉やラドン浴を利用する、またはラジウム温浴の効果が得られる家庭用品を利用するのもよいでしょう。ご自身のライフスタイルに合わせた方法で、ぜひ健康づくりに役立ててください。

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