ラドン温泉とトロン温泉の違いとは?特徴や効果について詳しく解説

 ラドン温泉とトロン温泉の違いとは?特徴や効果について詳しく解説

ラドン温泉とトロン温泉は、どちらも健康に良い温泉として知られています。しかし、ラドンとトロンの違いが分からず、どちらを利用すれば良いか迷っている方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、ラドンとトロンそれぞれの温泉の違いについて、特徴や効果も踏まえつつ、詳しく確認していきます。これからラドン温泉とトロン温泉の利用を検討している方は、ぜひ参考になさってください。

ラドン温泉とトロン温泉

ラドン温泉とトロン温泉

ラドン温泉とトロン温泉は、どちらも放射性物質を含む温泉を意味しています。放射性物質と聞くと、発がんのリスクや被ばくなどの心配をする方も多いでしょう。

しかし、ラドン温泉やトロン温泉に含まれる放射性物質は非常に微量なので、健康被害に至る恐れはありません。むしろ、少量の放射性物質を与えることは、身体にとって良い影響を与え、病気・病態の改善や健康増進に効果があるといわれています。

このように、微量の放射性物質が身体にポジティブに作用することを「ホルミシス効果」と呼びます。ラドン温泉とトロン温泉は、どちらも入浴したり、湯気に含まれる物質を吸い込んだりすることでホルミシス効果が得られます。それでは、ラドンとトロンそれぞれの温泉の特徴について、以下で詳しく確認していきましょう。

ラドン温泉とは

ラドン温泉とは

ラドン温泉とは、浴槽内に一定濃度のラドンガスを含んだ温泉を意味します。ラドンガスは気体であるため、温泉水の中にとどまらず、常に空気中に漂い出ていきます。そのため、ラドン温泉の浴室内の空気にはラドンガスが充満し、それを鼻や口から吸い込むことでも、身体に良い影響を与えられます。

ラドン温泉に含まれるラドンは、ウランが物質的に崩壊(壊変)してできたラジウム226が、さらに壊変することで生まれる物質です。その半減期(放射能が半分になる期間)は約4日といわれていて、身体に含まれたラドンは、比較的速やかに体外へと排出されます。ラドン温泉には天然のものと人工のものがありますが、天然のラドン温泉は非常に珍しく、全国でわずか7%しか湧出しないといわれています。

ラドン温泉の特徴

ラドン温泉の最大の特徴は、ラドンガスが含まれていることによるホルミシス効果にあります。ラドン温泉に入浴するだけでなく、そこに漂うラドンガスを吸い込むことでも、身体の新陳代謝の促進や免疫増進などの効果が得られます。それにより、リウマチや神経痛、冷え性、アトピー性皮膚炎などの諸症状の緩和に効果があるといわれています。

トロン温泉とは

トロン温泉とは

トロン温泉とは、貴重な天然鉱石であるトロン原石(トリウムを含む鉱石)を使用した温泉です。トロン温泉に含まれる放射性物質トロンは、トリウムが壊変してラジウム224になり、それが更に壊変した結果生まれる物質です。

厳密な物質としての性質は違うものの、ラドンもトロンもラジウムを介して生まれる物質である点は共通しています。そのため、一般的に言われる「ラジウム温泉(天然ラジウム温泉)」においては、ラドンとウランの両方が発生していることが多いです。

トロンはラドンと同様に気体で安定する物質なので、温泉水に溶けたままでなく、湯気に含まれた状態で空気中に広がっていきます。そしてラドンと同じく、それを吸い込むことでも身体に良い影響を与えます。

トロン温泉の特徴

トロン温泉の特徴は、体内にトロンが巡ることによって得られるホルミシス効果にあります。トロンはラドンと比べ、更に半減期が早い(約1分)ため、体内の細胞を活性化させ、素早く体外へと排出されます。

また、トロン温泉に使われるトロン原石には、トリウムのほかにも色々な鉱石が含まれています。そのため、トロン温泉に入浴することで、鉱石のミネラル分によって基礎代謝や新陳代謝の向上、心身のバランス安定などの作用が期待できます。

日本のトロン温泉は人工温泉?

日本のトロン温泉は、すべて人工温泉に区分されます。人工温泉とは、お湯に後から人の手で成分を付け加えたものを指します。一方の天然温泉は、25度以上で湧出する水(湯)や水蒸気、ガスのことで、温泉法によって定められた物質が一定以上含まれたものを指します。

日本には天然のラジウム温泉はありますが、ラジウム温泉ではラドンとトロンの両方が生成されるので、トロンだけを生み出すことはできません。そのため、日本のトロン温泉はトロン原石によって成分を付け加えたものであり、すべて人工温泉だといえるのです。

ちなみに、世界に目を向けた場合は、天然のトロン温泉も存在します。特に有名な場所としては、世界遺産に登録されたドイツの温泉保養地「バーデン・バーデン」が挙げられます。もともとトロン石は、ローマ時代にドイツで発見されたといわれているため、バーデン・バーデンはトロン温泉の元祖だといえるでしょう。バーデン・バーデンにあるトロン温泉は、かのローマ皇帝カラカラ帝(市民のために大浴場をつくった皇帝)に「奇跡の湯」と呼ばれたほどの効能を持ち、現在では世界中のセレブに親しまれています。

ラドンとトロンの違い

ラドンとトロンの違い

ラドンとトロンは、どちらも放射性物質であり非常に似ていますが、いくつか違いがあります。ここでは、ラドンとトロンの代表的な3つの違いについて、詳しく確認していきましょう。

元となる物質

ラドンとトロンは、その発生源となる物質が違っています。まずラドンは、地中にある放射性物質ウランが崩壊(壊変)してラジウム226になり、それが気体となって生じます。一方のトロンは、地中にある放射性物質トリウムが崩壊してラジウム224になり、それが気体となって生まれます。

また、トリウムはウランに比べて、海水に非常に溶けにくいという性質を持っています。そのため、海水中においてはラドンに比べてトリウムの濃度の方が低くなります。これが、世界的にトロンの方がラドンよりはるかに少ない一因だと考えられます。

温泉の発生方法

ラドンとトロンは、温泉の発生方法においても違いがあります。ラドンの場合、希少ではあるものの、日本国内で天然温泉として発生しているものがあります。

有名なものだと、山梨県の増富温泉や、鳥取県の三朝温泉などが挙げられます。また、ラジウム温泉と称されている兵庫県の有馬温泉なども、実質的にはラドン温泉の一種です。

一方で、トロンは一部のラジウム温泉で微量含まれるものの、トロン温泉と呼べるほどの天然温泉は国内に存在しません。そのため、先ほども触れた通り、日本で発生しているトロン温泉はすべて人工温泉なのです。

ホルミシス効果の持続時間

ラドンとトロンは、ホルミシス効果の持続時間も違っています。ホルミシス効果は、それぞれの放射性物質が身体に与える良い影響の意味ですが、これはそれぞれが体内に滞留する長さに関係していると考えられます。

ラドンは半減期が約4日、そしてトロンは半減期が約1分です。ここから明らかなように、トロンはラドンに比べて圧倒的に早く体内から排出されます。

ラドンの方が長くじっくり体内を活性化させる一方、トロンの方が素早く活性化を進めるといえます。つまり、ラドンのホルミシス効果の方が長く、トロンの方が短いと考えられます。

ただし、これらのどちらが良いとは一概に言えず、個々人によっての相性の差もあります。そのため、可能であれば、ラドン温泉とトロン温泉の両方を試し、より自分に合っていると思う方を選ぶのが良いでしょう。

ラドン温泉の効果

ラドン温泉の効果

ラドン温泉とトロン温泉は、効果を比較しても違いが見えてきます。ここではまず、ラドン温泉の代表的な効果について、詳しく確認していきましょう。

新陳代謝の促進

ラドン温泉では、ラドンガスを鼻や口から吸い込むことによって、体内の新陳代謝を促進する効果があります。新陳代謝が促進されることで、細胞の再生が早まり、美容効果や疲労回復効果が得られます。

また、代謝が高まることで老廃物の排出がスムーズに行われ、日常の疲労軽減にも繋がります。そのため、ラドン温泉は病気・病態の湯治だけでなく、リフレッシュの場としてもおすすめです。

免疫力の向上

ラドン温泉には、身体の免疫力を向上させる効果があります。免疫力とは、身体が本来持っている防御力です。これを高めることで、感染症への抵抗力が高まり、風邪やインフルエンザなどに罹患しにくくなります。

また、ラドンガスを吸引することで、免疫強化の中心を担う白血球の働きも活性化されます。それにより、体内に病原体やウイルスが侵入するリスクを軽減でき、健康的な暮らしを送れるでしょう。

リウマチや神経痛の緩和

ラドン温泉には、リウマチや神経痛を緩和する効果もあります。リウマチや神経痛の炎症を悪化させる一因に活性酸素の存在が挙げられます。活性酸素は、本来身体を菌などから守ってくれていますが、それが必要以上に発生すると、細胞を酸化させて炎症を悪化させてしまいます。

しかし、ラドン温泉でラドンを吸い込むことにより、ラドンからアルファ―波が出て活性酸素が消去されます。これにより、リウマチや神経痛の痛みが和らぎ、結果的に症状の安定化に繋がるでしょう。また、活性酸素の消去によって、動脈硬化などの予防にも効果が期待できます。

トロン温泉の効果

トロン温泉の効果

ここでは、トロン温泉の代表的な効果について、詳細を確認していきましょう。

細胞の活性化

トロン温泉に含まれるトロンガスは、吸い込むことで体内細胞を活性化させる効果があります。細胞が活性化することで、古い細胞と新しい細胞の入れ替わりが促進され、新陳代謝が向上します。それにより、身体全体のエネルギーが高まり、疲労回復が早まります。

また、細胞の活性化は肌のターンオーバーにも良い影響を与えます。それにより、肌質改善に加え、シミやくすみなどの肌トラブルの改善にも効果が期待できるでしょう。

素早いデトックス効果

トロン温泉には、素早いデトックス効果もあります。トロンはラドンに比べて半減期が短いため、体内に吸収された後も短い時間で排出されます。

その際、体内に蓄積された老廃物や毒素も排出されるため、高いデトックス効果が得られるのです。身体が素早くデトックスされることで、内臓の働きが改善され、むくみやだるさの軽減にも繋がります。

リウマチや神経痛の緩和

トロン温泉は、ラドン温泉と同様にリウマチや神経痛の緩和に効果があります。トロンとラドンはどちらもアルファ―波を出すため、体内に吸収された後、各部の活性酸素に働きかけます。それにより、リウマチや神経痛の緩和だけでなく、その他の慢性的な痛みの改善にも高い効果が期待できます。

ただし、ラドン温泉とトロン温泉のどちらの効果が高く出るかには、個人差があります。この点については、科学的根拠よりも相性が重要になってくるので、どちらかを試してみて効果が薄かった場合は、もう一方の温泉を試してみると良いでしょう。

ラドンとトロンは被ばくする?

ラドンとトロンは被ばくする?

ラドンとトロンはどちらも放射性物質なので、被ばくするかどうかが気になる方も多いでしょう。しかし、結論から言うと、ラドンとトロンによる被ばくは微々たるものなので、それによる健康被害を心配する必要はありません。

そもそも、私たちは日常的に身の回りのものから少しずつ被ばくし続けています。たとえば、大地からは年間に0.33mSv(ミリシーベルト)、食物からは0.99mSvの放射線を受けています。

また、ラドンやトロンは空気中にも含まれていて、ここからも0.48mSvの被ばくを受けています。そして、これら日常的に受ける放射線(自然放射線)による年間線量は、日本平均で2.1mSvだとされています。

そして、ラドン温泉やトロン温泉に毎日通ったとしても、年間での被ばく量は0.5mSvにも満たないほど微々たるものです。そのため、ラドン温泉やトロン温泉による被ばくリスクについては、限りなく無いものと考えて良いでしょう。

参考:自然・人工放射線からの被ばく線量|環境省

まとめ

今回は、ラドン温泉とトロン温泉について、それぞれの特徴や違い、効果の詳細などを詳しく解説しました。ラドンとトロンは、どちらもラジウム由来の放射性物質である点が共通しています。しかし、元となる物質や温泉の発生方法などが異なり、効果の詳細も違っています。

ラドンとトロンのどちらが良いかは一概に決められず、個々人との相性による部分も大きいです。今回の内容を読んで興味を持たれた方は、ラドン温泉とトロン温泉、それぞれをぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。