関節リウマチは体の自己免疫の異常によって引き起こされ、手足の関節などに炎症が起こる進行性の疾患です。痛みや腫れが日常生活を難しくし、症状が進行すると、動きづらさや不便さがさらに増してしまうこともあります。 残念ながら根治が難しい病気といわれていますが、適切な治療と日々の工夫で症状を軽減することは可能です。
この記事では、関節リウマチの初期症状や治療法について詳しく解説します。医学的な治療以外に、関節リウマチの症状を和らげる方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
関節リウマチは、体の自己免疫の異常により引き起こされる慢性の炎症性疾患です。自己免疫が誤って正常な組織を攻撃することにより、主に手や足の関節に炎症が生じます。
関節リウマチの発症当初は、手指や足指の関節に痛みや腫れが生じ、朝に強いこわばりを感じます。症状は左右対称に現れることが多く、時間とともに他の関節にも広がっていくのが特徴です。
関節リウマチは進行性の疾患であり、適切な治療を受けないと関節の破壊や変形が進行する可能性があります。さらに内臓にも影響を及ぼし、貧血や疲労感、微熱などの全身症状を引き起こすこともあります。
関節リウマチは根本的な治療がありませんが、早期診断と適切な治療により、症状を軽減し、進行を抑えることが可能です。薬物療法を中心とした治療により、生活の質の向上に努めます。
関節リウマチの明確な原因は現在のところ解明されていません。しかし、何らかの影響で免疫細胞に異常が生じ、白血球などの免疫細胞が誤って関節滑膜(※)を攻撃することが発症のメカニズムとして考えられています。
関節滑膜が攻撃されることにより、サイトカインという炎症に関わる物質が産出され、炎症反応が引き起こされます。この炎症反応が関節リウマチの症状につながるのです。
関節リウマチの発症の要因としては遺伝子の影響や、特定のウイルス、細菌の関与が考えられています。また、喫煙や歯周病なども関節リウマチの発症率を高めたり、症状を悪化させたりする要因として明らかになっています。
これらの要因が複雑に絡み合って関節リウマチが発症すると考えられていますが、個人差も大きいため、早期発見と適切な治療が重要です。
(※)関節滑膜:関節を包む関節包の内側にある膜で、動きを滑らかにする役割を持つ
関節リウマチは進行性の疾患であるため、発症初期と中期以降において症状が大きく異なるケースが多いです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
関節リウマチの初期症状として現れるのは、主に以下の3つです。
関節の症状が起こるのは主に手や足の指、手首の関節です。これらの関節に痛みや腫れが生じ、触れると熱感を感じることもあります。最初は単独もしくは少数の関節から始まりますが、数週間から数ヶ月の間にさまざまな関節に生じます。関節リウマチは、長期的には左右対称に症状が出ることが多いですが、必ずしも対称的ではありません。
朝のこわばりは、主に朝の起床時や長時間動かさなかった後に関節が固くなり、動かしにくくなる症状です。使っているうちに徐々に動きやすくなりますが、こわばりの時間が長いほど疾患が活動的であるといわれています。
腱鞘炎も初期症状のひとつで、関節リウマチに特徴的な症状としてばね指(※)があります。
(※)ばね指:指の付け根の腱に炎症が起こり、指が曲がったまま伸びにくくなる症状
関節リウマチは中期以降になると、関節症状がより進行してさまざまな変形が現れます。
また、関節以外の症状も現れ、全身に影響を及ぼします。疲れやすさや脱力感、体重減少、食欲低下、肺の疾患(間質性肺炎、肺線維症)、シェーグレン症候群(※)などが起こることがあります。
これらの症状は個人差があり、すべての患者に同じように起こるわけではありません。症状が進行する速度も人によって異なります。
(※)シェーグレン症候群:涙腺や唾液腺などに炎症が起こり、目や口の乾燥などが現れる自己免疫疾患
関節リウマチの主な治療は薬物療法、リハビリテーション、手術療法です。3つの治療を適切に組み合わせることで、関節リウマチの症状の改善や進行の抑制を図ります。
薬物療法は関節リウマチ治療の中心的役割を果たします。主に使用される薬剤は抗リウマチ薬、生物学的製剤、JAK阻害薬などです。これらの薬剤は炎症を抑制し、関節破壊の進行を防ぐ効果があります。
関節リウマチは早期からの積極的な治療介入が重要とされ、個々の患者の状態に応じて適切な薬剤が選択されます。関節リウマチの治療の目的は炎症を抑え、関節の痛みや腫れを軽減し、日常生活の質を向上させることです。
関節リウマチの薬物療法は長期にわたって継続される必要があり、定期的な経過観察と副作用のモニタリングが欠かせません。患者の症状や検査結果に応じて、薬剤の種類や量を調整していくことが重要です。
リハビリテーションは、関節機能の維持・改善、失われた機能の代償、日常生活動作の向上を治療目的としています。主な方法として、理学療法、作業療法、装具療法などがおこなわれます。
理学療法では、関節可動域を維持・改善するための運動や、筋力強化のためのトレーニングが中心です。作業療法では、主に日常生活動作の改善を目指し、実際の生活場面を想定した訓練をおこないます。装具療法では、関節の保護や機能補助のための装具を使用します。
また、リハビリテーションの一環として、関節保護や自己管理の方法などの患者教育も実施されることが多いです。これらにより、患者自身が日常生活のなかで適切な関節の使い方や関節リウマチの症状の管理をおこなえるようになります。
薬物療法やリハビリテーションの治療で十分な効果が得られない場合、手術療法が検討されます。主な手術には滑膜切除術、人工関節置換術、関節形成術、関節固定術があります。
炎症の主体である滑膜を切除し、症状の軽減を図る手術です。関節リウマチの初期から中期の段階でおこなわれることが多く、関節の腫れや痛みの抑制が期待できます。しかし、術後も滑膜は自然に再生するため、効果が一時的になる可能性があります。
変形した関節を人工物に置き変え、機能を回復させる手術です。手術後は関節の痛みが軽減し、関節可動域が改善されることで、日常生活動作の向上が期待できます。しかし、人工関節には寿命があり、肩や肘、手指などでは20年も持たないことが予想されています。
関節の一部を削ったり形を整えたりして機能や形態を改善する手術です。初期から中期の段階で、関節の形状が残っている状態でおこなわれることが多いです。
関節を機能しやすい角度で固定することで、関節の安定性や痛みの軽減を図る手術です。関節破壊が著しい場合や、人工関節置換術が適さない場合におこなわれます。しかし、関節可動域を失うため、日常生活動作に制限が生じる可能性があります。
手術の時期や方法は、関節の状態や患者の生活状況を考慮して慎重に決定されます。早すぎる手術は避けるべきですが、関節の破壊が進みすぎると手術ができなくなる可能性があるため、適切な治療時期の見極めが重要です。
手術後はリハビリテーションをおこなって機能回復を目指すとともに、炎症のコントロールのために薬物療法などの治療を継続することが一般的です。
関節リウマチをわずらう方は、治療だけでなく日常生活で以下の点に注意しましょう。
それぞれ詳しく説明します。
関節への過度な負担は関節リウマチの症状を悪化させる可能性があるため、日常生活での動作には注意が必要です。基本的に物を持つときは、両手で重さを分散させるようにしましょう。料理や家事の際も、重い鍋は両手で持ち、必要に応じて鍋つかみを使用することをおすすめします。
長時間同じ姿勢を続けることも避けるべきです。特に座った状態でうつむいた姿勢を長く続けることは控えましょう。パソコン作業や読書など、首や腰に負担がかかる姿勢が長く続く場合は、こまめに休憩を取り、姿勢を変えるようにしてください。
足の関節に炎症がある場合は、長時間の歩行を避け、適度に休憩を取ることが重要です。料理や掃除などで時間立ち仕事をする場合は、高さのある腰掛け椅子を使用して、こまめに足を休ませるようにしましょう。
関節リウマチは全身が慢性的に消耗する疾患であるため、適度な休憩が重要です。十分な睡眠を取り、疲れを感じたら積極的に休憩や昼寝をしましょう。特に症状が強いときは日中も休憩を取る必要があります。
しかし、全く動かないということではありません。関節の硬直を防ぐために適度な動きを維持し、休憩と軽い運動のバランスを取ることが大切です。
また、ストレスによって心身の疲れを溜め込みすぎないように心がけましょう。お酒を飲む場合は、関節症状が落ち着いている場合は適度であれば問題ありませんが、飲みすぎないように注意し、症状が悪化しているときは控えてください。
関節を冷やすと痛みが強くなったり、関節が動かしづらくなったりすることがあります。寒い季節だけでなく、夏場の冷房にも注意が必要です。症状のある関節は長袖や長ズボン、ブランケットなどで保温を心掛けましょう。
特に冷房の風邪が直接当たらないように注意してください。夏場でも関節の保温を意識し、必要に応じて薄手の長袖やパーカーなどを着用しましょう。
しかし、関節に腫れや熱感がある場合は炎症が起きている可能性があるため、温めてはいけません。このような場合は、冷やすことで症状が改善することがあります。熱感が伴う腫れがある関節には、冷湿布を当てて安静にすることも効果的です。
関節リウマチのコントロールが良好で関節の状態が安定している場合、ストレッチや軽いウォーキング、水中運動などをおこなうと良いでしょう。運動後1時間程度の休憩で次の活動ができる程度の強度が適切です。翌日以降に疲労や関節痛が残る場合は、運動の強度や時間を調整する必要があります。
運動は関節を支える筋肉の維持や関節の可動域の維持に重要です。全く運動しないと、関節を支える筋肉が萎縮し、結果として関節が固くなって動かせなくなる(拘縮)ことがあります。
運動は個々の状態に合わせて主治医と相談しながら、適切な負荷量を取り入れることが大切です。身体の状態は日々変化しているため、その日の状態に合った適度な運動の量や強度を調節することも重要です。
ホルミシスルームは関節リウマチの症状の緩和に期待される方法のひとつです。高気圧のカプセル内で高濃度のラドンと酸素を吸入することで、体の免疫機能や基礎代謝を高めます。
ラドンは、地下のラジウム鉱石から放出される放射性のガスで、微量の摂取によりさまざまな健康効果があるとされています。ホルミシスルームは、ラドン水をミスト状にして発生させることで、ラドンを体全体に行き渡らせる仕組みです。
体の細胞がラドンの影響を受けると、抗酸化酵素が生み出されます。抗酸化酵素が増えると、体内の「サビ」が改善され、臓器や細胞の機能が向上します。結果として、免疫機能が高まり、炎症が抑えられ、関節リウマチの症状緩和につながる可能性があるのです。
ホルミシスルームは従来の治療法を補完する選択肢として注目されていますが、効果には個人差があるため、医師と相談のうえで利用を検討することが重要です。
関節リウマチは自己免疫の異常により引き起こされる進行性の炎症性疾患で、主に手足の関節に症状が見られます。関節リウマチの治療は薬物療法やリハビリテーション、手術療法を組み合わせて、症状の緩和や生活の質の向上を図ります。治療だけでなく、日常生活ではできるだけ関節の負担を避け、適度な休憩と運動のバランスを取ることも重要です。
また、ラドンを使用したホルミシスルームも、関節リウマチの症状を和らげる方法のひとつです。ラドンのホルミシスルームは約1万ベクレルのラドンと35〜40%の酸素が含まれており、高い抗酸化作用が期待できます。関節リウマチの症状に日々悩まされている方は、一度利用してみてはいかがでしょうか。