ラジウム温泉を自宅で体験できる?効能や注意点など解説

ラジウム温泉を自宅で体験できる?効能や注意点など解説

古くから万病に効くとして利用されているラジウム温泉。「がんが小さくなった」「リウマチの症状が軽くなった」など、その効能を語る声は少なくありません。健康増進やアンチエイジング(若返り)効果が気になる一方で、ラジウム温泉は放射線と関係しており、体への影響が心配と感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。

評判の高いラジウム温泉は全国各地にありますが、時間や費用、体調などの理由で温泉地まで足を運ぶのが大変なケースもあるでしょう。そんな方のために、お手軽に健康維持を叶えたいときに、ラジウム温泉を自宅で体験できる方法があります。この記事では、ラジウム温泉の効能や、自宅でラジウム温泉を体験する際の注意点について詳しく解説します。

1.ラジウム温泉とは

ラジウム温泉とは

温泉水に含まれるラジウム(放射性元素の一種)が一定基準を超えたものをラジウム温泉といいます。ラジウムを含むものや、ラジウムが変化して生じる気体のラドンやトロンなどを含み、地中の奥深くにあるラジウム鉱石から溶け出した天然の温泉です。

放射線と聞くと恐怖を感じる人も多いと思われますが、温泉に含まれる放射線量は微量で、健康に問題はありません。むしろ、微量であるからこそ有益に作用するホルミシス効果が期待できます。

地下のラジウムから生まれた気体のラドンが温泉水に溶け込み、皮膚からの吸収や空気中の放散した蒸気を吸うことで体内に成分が取り込まれ、健康効果を発揮します。

関連ラジウム温泉に副作用はある?効能から注意点まで分かりやすく解説

1-1.ラジウム温泉とラドン温泉の違い

ラジウム温泉とラドン温泉はしばしば混同されますが、ラドン温泉にはラジウムが含まれません。ラジウムから変化して気体になったラドンが水に溶けているものがラドン温泉です。

効能として重要なのはラドンであり、入浴したり、ラドンの蒸気を吸引したり、温泉水をのむ飲泉などにより温浴効果が期待できます。

なお、ラドンは人工的に発生させることも可能です。旅館やホテル、健康センターなどには一部人工のラドン温泉が存在します。細かくいえば、温泉とは地中から湧き出たものを指すため、人工ラドン温泉は温泉ではなく、お湯に成分を添加させたものです。

とはいえ、人工設備だからといって効果が劣っているわけではありません。安定した状態で適量に供給されているラドンを、効率よく体内に取り入れることができます。

2.ラジウム温泉の効能

ラジウム温泉の効能

一般的な温泉の効果は、温水によって水圧や温熱が体に作用し、自律神経に働きかけることでリラックス効果をもたらします。また、体が温まることで免疫力の向上や発汗が促され、新陳代謝が盛んになります。

それに加えて、ラジウム温泉の場合は、気体であるラドンが体内に吸収されることで、さまざまな作用が期待できるのです。

2-1.ラドンによるイオン化作用

ラジウムから変化した気体のラドンにはイオン化作用(生体活性作用)があり、他のものに働きかける力が強いです。ラドンは呼吸により肺から直接血液に吸収されたり、皮膚を通して組織で吸収されたりすることで血液や細胞に働きかけて新陳代謝を活発にします。

このように血液循環がよくなることで中性脂肪やコレステロールが排せつされ、コリや痛みの原因となっている老廃物の排出につながります。

また、活性酸素を除去する酵素の働きがよくなるため、アンチエイジング(若返り)にも期待できるのが特徴です。

効能はラジウム温泉に含まれる成分によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。

これらは一例で、他にもさまざまな健康効果が期待できます。

2-2.ホルミシス効果

ラジウム温泉を利用すると、通常は有害となるものが、微量であると逆によい作用を示す「ホルミシス効果」が得られます。これは、ギリシャのホモ(刺激する・促進する)が語源で、ホルモンのような働きをすることからホルミシスと呼ばれているのです。

私たちの身の回りにもホルミシス効果は存在しており、抗がん剤などの薬やワクチンの予防接種などが挙げられます。量が少なければ有益に働くものを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。

ただし、有益に働く適切な量は個人によって異なるため、注意が必要です。

2-3.がんに効くといわれている理由

ラドンの有効性については、まだ明らかでない部分があり、残念ながら、がん治療に有効という明確な根拠は示されていません。しかし、がん治療の目的で遠方にあるラジウム温泉を訪れる人も多い実情があります。がん縮小などの評判を聞いて、ラジウム温泉の効果に希望を抱く方もいらっしゃることでしょう。

がんは、たばこや飲酒、食生活、運動不足、感染、加齢などさまざまな要因が複雑に絡み合って発生します。近年注目されているのが過剰な活性酸素(体のサビ)によるDNA細胞の損傷です。

活性酸素は吸い込んだ酸素から発生し、体にとって重要な役割を担っています。しかし、過剰な活性酸素は細胞を傷つける可能性があり、がんや生活習慣病との関連が指摘されているのです。

ラジウム温泉に入ることで、有害な活性酸素を減らす抗酸化作用が期待できると考えられています。さらに、適度な放射線被ばくで遺伝子の修復機能が向上するという指摘もあることから、ラドンががんに効くといわれている理由につながっているのでしょう。

また、皮膚から吸収されたラドンが体内に入ると、免疫機能を活性化させ、がん細胞の排除に一役かっているとも考えられています。

なお、ラドンからの低線量放射線が脳下垂体や副腎皮質の機能を強めることも示唆されており、他のさまざまな病気に対しても治療効果が期待されています。

ただし、進行した悪性腫瘍は温泉の禁忌(きんき)とされている場合もあるため、持病のある方は主治医に相談をしてください。

日本温泉気候物理医学会という民間団体には温泉療法医資格が設けてあり、認定を受けた医師がホームページに紹介されています。気になる方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

3.ラジウム温泉を自宅で体験できる?

ラジウム温泉を自宅で体験できる?

ラジウム温泉を利用するとさまざまな健康効果が期待できます。仕事や家庭の都合がつかない方や、体調不良で外出が難しい方にとって、自宅でラジウム温泉を体験することは気軽な方法といえるでしょう。

ぜひ、ご自身にあった健康法を日々の生活に取り入れてみてください。

なお、体調が悪いときは無理をせず、短時間で行うなど様子をみながらラジウム温泉を自宅で体験してください。

3-1.ラドンバスを使用する

ラジウム温泉を自宅で体験する方法として、天然ラジウム鉱石を原料に練り込んだラドンボールが入ったラドンバスの使用がおすすめです。自宅の浴槽に製品を浸けるだけで、湯気に含まれるラドンを吸い込むことができ、ラジウム温泉の効果を感じられます。

ただし、ラドンの効果を感じたいからといって溶かしたお湯を飲まないようにしてください。水質や衛星管理の基準を満たした温泉水のみが飲泉できるため、ラドンバスを使用したお湯は、それらに該当しません。また、入浴後に体調の変化があれば速やかに医師へ相談しましょう。

なお、入浴後は体を洗い流すと成分まで流れてしまうため、軽くタオルでふきとります。浴槽は十分に洗い流し、清潔に保つことが大切です。

ラドンバス

3-2.ラドン吸入器を使用する

ラジウム温泉の効能は、じつは温泉水に浸かることよりも、ラドンガスの吸入によって得られるものがほとんどです。呼吸から取り込み、肺からラドンが吸収されることで健康増進効果が期待できます。

ラドン吸入器を使用すると、ご自身の都合のよい時に自宅で毎日使用が可能です。酸素マスクやチューブを使用した簡単な方法で、入浴の着替えなども不要なため、忙しい方でも無理することなく続けられるでしょう。

長時間の使用は避け、時間を守って使ってください。ラドンガスは高濃度になると健康被害をひきおこす可能性があります。

なお、ラドミスではラドン吸入器のレンタルが可能です。

関連ラドン吸入器の効果とは?気になる作用・使用方法・費用もご紹介

ラドン吸入器

3-3.ホルミシスルームを使用する

ラドミスのホルミシスルームを利用すると、高濃度のラドンをカプセル内で全身から取り入れることができます。同時に酸素も吸入できるため、基礎代謝があがり、より健康効果にも期待ができるでしょう。

サウナとは違い、服を着たまま利用できるため、ゆったりとした時間を過ごせます。ホルミシスルーム内にはエアコンも設置されているため、夏場の暑さも気になりません。

ラドミス以外にもホルミシスルームはクリニックなどにも設置されており、手軽に利用が可能です。また、健康志向の高まりから、自宅に癒しの空間としてホルミシスルームを設置する人もいます。自宅の壁紙を変える、既存の部屋をホルミシスルームにリフォームするなどにより、ラジウム温泉に行かなくても自宅でラドン効果を得ることができます。

関連ホルミシスルームとは?ラドンの効果や注意点を解説

4.ラジウム温泉は危険なの?

ラジウム温泉は危険なの?

ラジウム温泉が放射線と関連していると聞けば、被ばくが心配になる方もいらっしゃるでしょう。しかし、私たちは日常生活の中で、自然放射線から常に微量の被ばくを受けているのです。

空気中や、大気などに放射線は含まれ、呼吸はもちろん、飛行機に乗ることでも放射線を受けています。また、食べ物や飲み物にも含まれる放射線物質は、体の健康に役立っています。なかでも、主な放射線物質であるカリウムは、筋肉の動きを助け、神経伝達に関係する体にとって不可欠な栄養素といえるのです。

4-1.ラジウム温泉に含まれるラジウム

ラジウムは土や水の中に存在するウラン、トリウムが崩壊していく過程でできる物質で、1898年にキュリー夫人によって発見されました。

骨の健康に関わるカルシウムの同族元素として知られています。ただし、カルシウムと異なる点は、ラジウムは放射線元素であり、α(アルファ―)線を放出しながらラドンやトロンといった気体に変化する特徴があることです。

カルシウムと同じように骨に集積しやすいラジウムは、α(アルファ―)線を出してラドンに変わる性質を利用してがんの骨転移治療に使われています。

参考:「国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

4-2.ラジウム温泉は危険ではない

ラジウム温泉を利用すると、ラジウムから変化したラドンガスによる肺がんのリスクを心配される場合があります。ラドンガスの多くは呼吸によって体内に取り込まれますが、気体のため体外に排出されやすく、体には蓄積されない特徴があるため、心配は不要です。

なお、イランにあるラムサールでは、温泉の噴出でラジウムがたまり、大地から受ける放射線が高い地域ですが、住民に健康影響はみられていません。

さらに、被ばく量からみても安全を示すことができます。ラジウム温泉で有名な鳥取県三朝温泉の被ばく線量は、時間あたりで0.11μSV(マイクロシーベルト)であるのに対し、病院で行われるCT検査での被ばく量は1回あたり5-30m㏜(ミリシーベルト)です。人工放射線としての医療被ばくに比べて、ラジウム温泉での被ばく量は極めて少ないといえます。

つまり、何年も前から人々に受け入れられてきたラジウム温泉は危険なものではありません。とはいえ、鉱山や洞窟などで高濃度のラドンガスを吸い込むと肺がんのリスクがあると指摘されているのは事実です。体調をみながら過度な入浴は避けるなど、適切な方法でラジウム温泉を利用しましょう。

参考:「日本原子力文化財団 原子力総合パンフレット2022年度版 

参考:「環境省

5.ラジウム鉱石をお風呂に入れても効果なしといわれる理由

ラジウム鉱石をお風呂に入れても効果なしといわれる理由

ラジウム鉱石中のラジウムは鉱物の中に固く閉じ込められており、お湯に溶けだすことはほとんどありません。また、ラドンガスの発生もおこりにくいと考えられるため、ラジウム鉱石をお湯に入れただけでは、ラジウム温泉と同じ効果は期待できないでしょう。

ただし、ラジウム鉱石セラミックスの場合は、お湯に溶けだしやすい可能性があります。セラミックスとは焼き固めたもので、食器などの陶磁器やタイル、電子部品の素材など私たちの身近なところにあるものです。

穴が多く、吸い込みやすい特徴をもつため、ラジウム鉱石セラミックスを利用した入浴はラジウム温泉の効果を期待できる可能性があります。

まとめ 

ラジウム温泉を利用すると、ラドンが微量の放射線を放出することで得られる免疫力向上や抗酸化作用に期待ができます。

温泉地まで足を運ぶことが困難な場合には、自宅で手軽にラジウム温泉を体験できる方法もあります。

ご自身の体調や目的に合わせて最適な方法を取り入れてみてください。