がん療養と温泉療法|療養中の過ごし方や温泉利用の考え方を解説
2026-07-14

がんの療養を続けながら、心身をどう休めればよいか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。療養中の過ごし方の一つとして、古くから湯治文化の中で利用されてきた温泉療法を取り入れる人もいます。
ただし、温泉療法は医療機関で行われるがん治療とは位置づけが異なるため、その特徴や考え方を正しく理解しておくことが大切です。
本記事では、がん療養と温泉療法の関係、療養中の過ごし方、利用される温泉の種類、ラドン温泉やホルミシス療法、利用時の注意点について解説していきます。
がん療養と温泉療法

がん療養中は治療だけでなく、日々の過ごし方や心身の負担との向き合い方も重要になります。温泉療法は古くから利用されてきた療養法の一つです。まずはその基本的な考え方を確認してみましょう。
温泉療法とは
温泉療法とは、温泉の利用を通じて心身の健康維持や療養に役立てようとする考え方です。温泉に入るだけでなく、休養や食事、適度な運動などを組み合わせながら過ごす方法も含まれます。
日本では古くから湯治という文化があり、温泉地に滞在しながら体を休める習慣が受け継がれてきました。現在では医療機関でおこなわれる治療とは区別され、がん療養や健康管理の一環として利用されることが一般的です。
環境省が提唱する「新・湯治」では、温泉利用に加えて自然環境の中での休養や地域との交流なども含めた滞在スタイルが紹介されています。近年は数日間の短期滞在を楽しむ人も増えており、がんなどの療養期に取り入れやすい温泉療法の形も広がっています。
がん療養中に温泉を利用する理由
がん療養中は治療や通院が続くことで、身体的な負担だけでなく精神的な疲れを感じることもあります。そのため、休養や気分転換を目的として温泉地を訪れる人もいます。
温泉療法は古くからがんなどの療養と関わる方法として利用されてきた歴史があります。温泉地には湯治文化が根付いており、一定期間滞在しながら温泉に入り、食事や休養を組み合わせてがんなどの療養中の体調管理に役立てる考え方が受け継がれてきました。
温泉では温熱作用や血行促進作用、リラックス効果などが期待されており、がん療養中の過ごし方の一つとして関心を持つ人もいます。温泉療法は医療行為そのものではありませんが、がん療養生活を支える選択肢の一つとして利用されています。
温泉利用に期待できること
温泉療法では、体を温めることによる温熱作用や、血流を促す働きが期待されています。入浴によって体が温まることで筋肉の緊張がほぐれやすくなり、心身のリラックスにつながると考えられています。
また、温泉地でゆっくり過ごすことで睡眠や食事のリズムを整えやすくなる点も特徴です。がん療養中は体力の維持や休養が重要になるため、温泉地での滞在を通じて生活習慣を見直すきっかけになる場合もあります。さらに、温熱作用に加えて「ホルミシス効果」という現象との関係が語られる場面もみられます。ただし、温泉療法はがんそのものを治療する方法として確立したものではありません。期待されている内容と現在分かっている範囲を区別しながら利用することが重要です。
関連記事:がんの療養にラドン温泉がおすすめ?選ばれる理由を解説
療養中の過ごし方

がん療養中は治療だけでなく日々の過ごし方も重要になります。がん療養中の温泉地での滞在は、入浴だけで成り立つものではありません。がん療養中の過ごし方にも目を向けてみましょう。
休養を優先した過ごし方
がん療養中は、体力の維持や回復を意識しながら生活することが大切です。治療による疲労感や体調の変化が続く場合もあるため、まずは十分な休養を確保することが基本となります。
もともと湯治には、温泉に入るだけでなく、温泉地に滞在しながらゆっくり休むという考え方があります。昔ながらの湯治では数週間から数か月にわたり滞在し、入浴と休養を繰り返しながら過ごしていました。
現在ではそこまで長期間滞在するケースは多くありませんが、温泉地で日常から少し離れ、心身を休めるという考え方は受け継がれています。がん療養中も観光や予定を詰め込むより、まずは休養を優先した過ごし方が基本となります。
食事・睡眠・軽い運動を整える
現代の湯治では、がんなどの療養期にも配慮しながら、温泉だけでなく食事・睡眠・運動を含めた生活全体を整えることが重視されています。十分な睡眠を確保し、栄養バランスに配慮した食事をとることは、がん療養生活の土台となります。また、体調が安定している場合には、散歩などの軽い運動を取り入れることで生活リズムを整えやすくなります。
温泉地には自然環境に恵まれた場所も多く、無理のない範囲で体を動かしやすい環境があります。がん療養中は激しい運動をおこなう必要はありません。体調に合わせながら、休養と活動のバランスを整えていきましょう。
温泉との付き合い方
温泉療法という言葉を聞くと、長時間の入浴や頻繁な入浴をイメージする方もいるかもしれません。しかし、現代の湯治では無理をせず、自分の体調に合わせて温泉を利用することが基本とされています。
近年は「プチ湯治」と呼ばれる短期間の温泉滞在も広がっており、1泊2日や2泊3日でも温泉地でゆっくり過ごす人が増えています。がん療養中の場合も、長期滞在にこだわる必要はありません。温泉療法を取り入れること自体が目的になるのではなく、休養や気分転換、生活リズムを整えるための時間として活用することが大切です。特にがん療養中は体調と相談しながら無理のない範囲で取り入れましょう。
湯治場・温泉地での過ごし方
湯治場や温泉地では、入浴以外の時間の使い方も重要です。昔ながらの湯治では、温泉に入りながら読書をしたり、静かに休んだりする時間が重視されていました。
近年は環境省が提唱する「新・湯治」の考え方も広がっています。新・湯治では、温泉療法に加え、自然の中を散策したり、地域の食文化に触れたりしながら、心身を整える過ごし方が紹介されています。
がん療養中に温泉地を訪れる場合も、入浴だけに意識を向けるのではなく、自然の中でゆっくり過ごしたり、静かな時間を確保したりすることが大切です。日常とは異なる環境で心身を休めることも、温泉地で過ごす価値の一つといえるでしょう。
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「プチ湯治」とは?現代版湯治の効果と始め方をわかりやすく解説
温泉療法で利用される温泉

温泉療法で利用される温泉にはさまざまな種類があります。泉質ごとの特徴を知ることで温泉選びの参考になります。
療養泉とは
一定以上の成分を含み、健康管理やがんなどの療養への利用が期待される温泉は「療養泉」と呼ばれています。日本では温泉法によって温泉の基準が定められており、療養泉はその中でも温度や含有成分などの条件を満たした温泉を指します。全国の温泉地で利用されている温泉の多くも、この療養泉に分類されています。
古くから湯治文化の中で利用されてきた温泉の多くは療養泉であり、現在も健康維持やがんなどの療養を目的として利用されています。温泉療法で用いられる温泉も、こうした療養泉が中心となります。
泉質ごとの特徴
療養泉にはさまざまな泉質があります。
例えば、塩化物泉は入浴後も体が温まりやすい、炭酸水素塩泉は比較的刺激が少なく入浴後に肌がなめらかに感じられるとされています。また、硫黄泉は独特の香りを持つことが特徴です。このほかにも、単純温泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉など多くの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
がんなどの療養でおこなわれる温泉療法では特定の泉質だけが利用されるわけではありません。さまざまな泉質が活用されており、湯治場によって温泉の特色も異なります。
放射能泉(ラドン温泉)とがん療養
療養泉の一つに「放射能泉」があります。一般にはラドン温泉やラジウム温泉と呼ばれることもあり、全国には鳥取県の三朝温泉をはじめとする代表的な温泉地があります。
放射能泉の特徴は、ラドンと呼ばれる気体成分を含んでいる点です。入浴による温熱作用に加え、温泉から放出されるラドンを呼吸によって体内へ取り込むという特徴があります。
ラドン温泉は古くから湯治の場として利用されてきた歴史があり、現在でも温泉療法や湯治の分野で関心が寄せられています。
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ラドン温泉とホルミシス療法

温泉療法の中でもラドン温泉は独自の特徴を持つ泉質として知られています。ラドン温泉が注目される背景にはホルミシス療法という考え方があります。
ラドン温泉とは
ラドン温泉とは、ラドンと呼ばれる気体成分を一定量以上含む温泉のことです。温泉法では放射能泉に分類され、三朝温泉や増富ラジウム温泉などが代表的な温泉地として知られています。一般的な温泉では、お湯に含まれる成分が主に注目されます。一方、ラドン温泉では温泉成分だけでなく、温泉から放出されるラドンガスも特徴の一つです。
ホルミシス効果の考え方
ラドン温泉が語られる際によく登場するのがホルミシス効果という考え方です。
ホルミシスとは、強い刺激であれば有害となるものでも、ごく微量であれば生体の反応を引き出す可能性があるという考え方を指します。ラドン温泉では、ラドンから放出されるごく微量の放射線がこのホルミシス効果と関連して説明される場合があります。ホルミシス療法ではこうした微量刺激に対する生体反応について検討されています。
ラドンが体に取り込まれる仕組み
ラドン温泉では、お湯に浸かることに加え、温泉施設内の空気中に存在するラドンを呼吸によって取り込むことが特徴とされています。吸入されたラドンは肺から血液中へ移行し、体内を循環した後に体外へ排出されると考えられています。また、入浴時には皮膚を通じた取り込みも起こると考えられています。
ラドンに関する研究
ラドン温泉やホルミシス療法については国内外でさまざまな検討がおこなわれており、酸化ストレスや抗酸化酵素との関係、生体防御反応との関係などが調べられ、ラドンによる微量刺激が体内にどのような影響を与えるのかが調べられています。一方で、がん療養との関係を含め、ヒトにおける評価は十分に確立しているとはいえません。
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がん療養中に温泉を利用する際の注意点

がん療養中に利用されている温泉ですが、無理なく取り入れるためには、事前に知っておきたい注意点もあります。
主治医へ相談する
がん治療中の体調は人によって大きく異なります。治療内容や病状によっては温泉利用を控えた方がよい場合もあるため、まずは主治医へ相談しておくと安心です。
特に手術後の回復期や抗がん剤治療中、放射線治療中などは体調の変化が起こりやすくなります。温泉療法を取り入れる計画を立てる際は、現在の状態で利用しても問題がないか確認しておきましょう。
体調に合わせて利用する
療養中は体力や体調が日によって変化することがあります。そのため、旅行中も予定を詰め込み過ぎず、無理のないスケジュールを心掛けましょう。
温泉療法の一環として入浴を予定していても、疲労感が強い日や体調が優れない日は休養を優先する判断も必要になります。周囲の予定に合わせるのではなく、自分の体調を基準に行動するようにしましょう。
脱水を防ぐ
温泉に入ると発汗によって体内の水分が失われます。特に長時間の入浴や複数回の入浴をおこなう場合は、水分補給を意識することが重要です。療養中は体調によって脱水の影響を受けやすくなることもあります。入浴前後にはこまめに水分を補給し、喉の渇きを感じる前から意識して飲むようにしましょう。
感染対策に配慮する
がんの療養中は免疫機能が低下している場合があります。そのため、多くの人が利用する施設では基本的な感染対策にも気を配る必要があります。体調が不安定な時期には混雑する時間帯を避けたり、施設の衛生管理状況を確認したりすることも参考になります。旅行前には体調を確認し、発熱や体調不良がある場合は利用を見合わせる判断も必要です。
長時間の入浴を避ける
温泉療法をおこなう際は、長く入ればよいというものではありません。長時間の入浴は体力を消耗し、のぼせや脱水につながる場合があります。療養中は体への負担を考慮しながら利用することが重要です。短時間の入浴と休憩を組み合わせるなど、自分に合ったペースで温泉を楽しみましょう。
温泉地へ行けない場合の選択肢

がん療養中に温泉療法へ関心があっても、温泉地での湯治や療養を継続することが難しい場合があります。そのような場合には、自宅で温泉療法の考え方を取り入れる方法を検討する選択肢もあります。
自宅でできる温浴習慣
温泉地へ行くことが難しい場合でも、自宅で入浴習慣を整えることは可能です。
毎日の入浴によって体を温め、ゆっくり休養する時間を確保することで、生活リズムを整えやすくなります。また、入浴後に十分な休息をとることで、温泉療法と同様に、温める、休むという基本的な考え方を日常生活へ取り入れることができます。もちろん温泉地での滞在と同じ環境を再現できるわけではありませんが、無理なく続けやすい方法の一つといえるでしょう。
ホルミシスルーム
近年では、ラドン温泉やホルミシス療法に関心を持つ人の中で、「ホルミシスルーム」を利用するケースもあります。ホルミシスルームとは、ラドンやホルミシス環境を利用した専用空間のことです。施設によって設備や利用方法は異なりますが、温泉地へ長期間滞在することが難しい人にとっては選択肢の一つとなっています。
ラドン吸入器
ラドン吸入器は、ラドンを発生させて吸入することを目的とした機器です。温泉地やホルミシス施設へ通うことが難しい場合でも、自宅で利用できることが特徴です。
まとめ
温泉療法は、温泉利用を通じて休養や健康管理に役立てようとする考え方で、がん療養中の過ごし方の一つとして取り入れられることがあります。温泉療法には温熱作用やリラックス効果が期待されており、がん療養生活の中で心身を整えるきっかけとして利用されています。
また、温泉療法で利用される療養泉の中にはラドン温泉もあり、ホルミシス療法との関係から注目されることがあります。ただし、温泉療法やラドン温泉はがん治療そのものとして確立された方法ではありません。利用する際は主治医へ相談し、体調に合わせながら無理のない範囲で取り入れることが大切です。